デュラハン
Dullahan · 首なし騎手 — 死を連れ去るアイルランドの使者
デュラハン(アイルランド語Dullahan 英語Dullahan)は自らの斬られたる頭を片手に持ちて黒馬を駆る首無き騎手にて アイルランド・ケルト伝承の死を取り立つる精霊にして運命の執行者図像の決定的正典である。語源はアイルランド語dulachánあるいはdubhlachanに由来して — 両者共に 闇の使者(messenger of darkness) あるいは 首無き者(headless one) と解さるる — ケルト前基督教時代アイルランド人身御供信仰の名残である。決定的なる学説は千八百二十五年トマス・クロフトン・クロカー(Thomas Crofton Croker)のアイルランド南部妖精伝説(Fairy Legends and Traditions of the South of Ireland) — 斬られたる頭より光を放つ首無き騎手の決定的視覚正典を確立 — と千八百八十七年ワイルド夫人(Lady Wilde オスカー・ワイルドの母 千八百二十一年から千八百九十六年)のアイルランド古代伝説・神秘呪符・迷信(Ancient Legends, Mystic Charms, and Superstitions of Ireland) — デュラハンの行動様式(名を呼べばその者死す・人骨鞭・道の門が独りでに開く・黄金を恐る)正典 — である。千八百二十年十一月米国ワシントン・アーヴィング(Washington Irving)の短編スリーピー・ホロウの伝説(The Legend of Sleepy Hollow) — ヘシアン(Hessian)傭兵出身の首無き騎手がニューヨーク・ハドソン渓谷に出没する筋 — がデュラハン図像を西欧英文学に決定的に定着させ 千九百九十九年ティム・バートン(Tim Burton)監督の映画スリーピー・ホロウ(ジョニー・デップとクリストファー・ウォーケン主演)が現代映画正典を完成させた。