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西洋

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ワイバーン

Wyvern · ドラゴンの一種 — 二脚と翼を持つ伝説の生物

ワイバーン(Wyvern)は中世ヨーロッパの紋章学(heraldry)と伝説に登場する二脚・コウモリ翼一対の竜の一種で、語源は古英語『wivere(蝮)』 — ラテン語『vipera(毒蛇)』に由来 — である。西方四脚竜と異なり前脚を持たず翼が腕の役割を果たし、長く棘の多い尾の先に矢じり形の毒針を備える点が決定的な外形特徴である。紋章学的形式はイングランド・ヘンリー二世期(十二世紀末)のアングロ・ノルマン紋章学で確立され、一四八六年のジュリアナ・バーナーズ『セント・オールバンズの書(Boke of Saint Albans)』(大英図書館IB.55712)が四脚竜と区別される独立の紋章獣として分類した最初の英文マニュアルである。ウェールズの赤竜(Y Ddraig Goch)は一四八五年ボズワースの戦い以降テューダー朝の公式紋章となり、十九世紀英国紋章学者がこれを『四脚のワイバーン』として調和させた。同一の輪郭はJ.R.R.トールキン『指輪物語(一九五四-五五)』のフェル・ビースト、フロム・ソフトウェア『ダークソウル(二〇一一)』のワイバーン、カプコン『モンスターハンター(二〇〇四- )』のリオレウス系飛竜、『エルダースクロールズV: スカイリム(二〇一一)』の竜、HBO『ゲーム・オブ・スローンズ(二〇一一-二〇一九)』の竜にまで継承されている。

smaug

スマウグ(Smaug、The Golden / The Magnificent / The Tremendous)はJ.R.R.トールキンの一九三七年の小説『ホビット、または往きて還りし物語(The Hobbit, or There and Back Again)』に登場する黄金欲の火竜であり、現代ファンタジーにおける『宝の山の上に眠る火竜』図像の直接の原型である。深紅の鱗、コウモリの翼、二本の脚(つまり厳密な紋章学分類ではワイバーン)に火炎ブレスを備える邪悪な竜で、第三紀二七七〇年頃に孤山(エレボール)のドワーフ王国デュリンの民を襲撃し、スロール(Thrór)王家を虐殺し、孤山の宝物 — アーケン石(Arkenstone)を含む — を奪い、その上に横たわって眠りについた。約一七〇年後、ホビットのビルボ・バギンズ、ソリン・オーケンシールド率いる一三人のドワーフ遠征隊、そして魔法使いガンダルフが孤山へ向かう冒険の中で、ビルボは『ホビット』第一二章『内部からの情報(Inside Information)』でスマウグと宝の山の中で対面し、その左胸の鱗の抜けた一点を発見する。情報は老ツグミ(thrush)を介して湖の町(エスガロス)の人間の弓手バード(Bard the Bowman)に伝わり、家伝の『黒い矢(Black Arrow)』が正確に命中、スマウグは湖の町に墜ちて死に、その遺骸は湖底に沈む。死後に起こった『五軍の合戦(Battle of the Five Armies)』が『ホビット』の頂点を成す。

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レッド・ドラゴンはダンジョンズ&ドラゴンズの五色の悪のドラゴン(クロマティック)の頂点であり、西洋ファンタジーで最も象徴的かつ恐るべき存在である。1974年TSR『Dungeons & Dragons』オリジナル箱入りセットの『モンスターと宝物』分冊において、ゲイリー・ガイギャックスとデイヴ・アーネソンが火山・山岳領を支配する火炎吐息ドラゴンの頂点として導入し、1977年AD&D『モンスターマニュアル』以後、整列は混沌にして悪に固定された。2014年第五版『モンスターマニュアル』基準で成体レッド・ドラゴンは体長二十五-三十メートル、挑戦評価十七、六十フィート(約十八メートル)円錐火炎ブレスで十八d六の損傷を与え、古代レッド・ドラゴンは挑戦評価二十四、九十フィート円錐ブレス、二十六d六の圧倒的火力を誇る。現代的図像の正典はJ.R.R.トールキン『ホビット(一九三七)』のスマウグ — 孤山(エレボール)の宝物の上にとぐろを巻く深紅の竜 — であり、AD&Dの色分類はスマウグの図像を直接借用したと評価される。同一の系譜はドラゴンランスの闇の女王タキシス、『マジック:ザ・ギャザリング(一九九三-)』のシヴァン・ドラゴン、バルダーズ・ゲート3(二〇二三)の古代レッド・ドラゴン遭遇にまで継承されている。

🐉精霊(20)
nymph

ニンフ

下位

Nymph — 森の下位精霊

ニンフ(希臘語Νύμφη Nymphē 英語Nymph)は古代希臘神話にて自然の様々なる側面に宿る女の精霊らの結定的正典の総称である。語源は希臘語nymphē — 若き女 花嫁 — にて 居住環境に従ひて樹のドリュアード(Dryas)と特定の樹のハマドリュアード(Hamadryas)と淡水のナイアード(Naias)と海のネレイス(Nereis)と山のオレアード(Oreias)と湖のリムニアース(Limnias)と谷のアウローニアース(Aulonias)等に細分されたる結定的正典図像である。最も決定的なる文献正典は紀元前八世紀頃のホメロス(Homeros)の伊里亜斯(Ilias)六巻四百二十行と奥德修紀(Odysseia)六巻百五から百九行 — アルテミスと共なるニンフ — にて 紀元前七百年頃のヘシオドス(Hesiodos)の神統記(Theogonia)二百四十から二百六十四行の五十名のネレイデス目録と三百四十六から三百七十行の三千名のオケアニデス目録が結定的希臘神話正典である。最も決定的なる羅典文学正典は紀元八年頃のオウィディウス(Publius Ovidius Naso 紀元前四十三年から紀元十七年)の変身物語(Metamorphoses)にて 最も決定的なるヴィクトリア視覚正典は千八百九十六年英国画家ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(John William Waterhouse 千八百四十九年から千九百十七年)の絵画ヒュラスとニンフ達(Hylas and the Nymphs)であり マンチェスター市立美術館所蔵である。

sylphid
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シルフィード

下位

Sylphid — 下位の風の精霊

シルフィード(仏蘭西語Sylphide 英語Sylphid 羅典語sylphida)は千七百十二年五月四日英国出版のアレクサンダー・ポープ(Alexander Pope 千六百八十八年から千七百四十四年)の風刺詩髪の毛の強奪(The Rape of the Lock 千七百十四年五巻拡張版)一巻五十行 — シルフィード(sylphid)語彙にて — 導入したる小なる実フ(Sylph)あるいは若き実フの結定的正典変容である。語源は千五百六十六年パラケルススの羅典語sylphus(実フ 空気の精霊)に — 小さきと女を表はす希臘羅典の -ida 接尾辞 — の結合したる結定的正典語彙にて 小なる蝶や蜻蛉の如き翼の — 白衣の — 優雅にして軽き正典図像である。最も決定的なる正典は千八百三十二年三月十二日仏蘭西巴里ル・ペルチエ歌劇場(Salle Le Peletier)初演の発勒ラ・シルフィード(La Sylphide) — ジャン・シュナイトホッファー(Jean-Madeleine Schneitzhoeffer)作曲 フィリッポ・タリオーニ(Filippo Taglioni)振付 マリー・タリオーニ(Marie Taglioni)主演 — が発勒史上初のトウシューズ(pointe shoes)公演として十九世紀浪漫発勒(Romantic ballet)の結定的始原を確立した。千八百二十二年仏蘭西作家シャルル・ノディエ(Charles Nodier 千七百八十年から千八百四十四年)の短編トリルビー アルガイルの小さき精霊(Trilby ou le Lutin d'Argail)が千八百三十二年発勒台本の結定的原作にて 千八百三十六年七月二十八日丁抹コペンハーゲン王立劇場初演のオーギュスト・ブルノンヴィル(August Bournonville 千八百五年から千八百七十九年)振付とヘルマン・レーヴェンスキョルド(Herman Severin Lovenskiold)作曲の丁抹版が二千二十四年現在まで保存さるる結定的丁抹発勒正典である。

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オレアド

精霊王

Oread · トロウェル · ノアス — 大地の精霊王

オレアド(希臘語Ὀρειάς Oreias 複Ὀρειάδες Oreiades 英語Oread)は希臘神話の山と洞窟に宿る山の精霊(νύμφη nymphe)にて 狩の女神アルテミス(Ἄρτεμις Artemis)の伴侶として頻りに描かるる希臘神話自然精霊の決定的正典図像である。語源は希臘語オロス(ὄρος oros 山)に由来し 精霊の四大分類 — ナイアド(淡水)とオケアニド(大洋)とネレイド(海塩水)とドリアド(樹)とオレアド(山) — の中山の決定的正典である。最も決定的なる文献正典は紀元前八世紀ホメロス(Ὅμηρος Homeros)の叙事詩イリアス(Ἰλιάς)巻六四百二十行 — アンドロマケ(Andromache)の父エエティオン(Eetion)の墓の傍に山の精霊たちが楡の木を植えたとの — 正典と巻二十四六百十五から六百十七行 — ニオベ(Niobe)の子たちが死した後山の精霊たちがシピュロス(Sipylos)山にて舞ふとの — 正典が山の精霊図像の始原にて 最も決定的なる正典は紀元八年頃羅馬詩人オウィディウス(Publius Ovidius Naso 紀元前四十三年から紀元十七年)の変身物語(Metamorphoses)巻三三百三十九から五百十行のエコー(Echo)とナルキッソス(Narcissus)正典 — オレアド山の精霊エコーが美少年ナルキッソスを片思ひしたるもヘラ(Hera)の呪ひにて他人の最後の言葉のみを繰り返し得る — 終に山びこ(山びこ)と変じたる悲劇 — が羅典文学オレアド正典の決定的決定作である。千九百三年英国ラファエル前派画家ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(John William Waterhouse 千八百四十九年から千九百十七年)の絵画エコーとナルキッソス(Echo and Narcissus 英国リヴァプール・ウォーカー美術館所蔵)が十九世紀ヴィクトリア時代オレアド視覚正典を確立した。

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ウィル・オー・ザ・ウィスプ

中位

Will-o'-the-Wisp — 中位光の精霊

ウィル・オ・ザ・ウィスプ(英語Will-o'-the-Wisp)は英国民譚の最も決定的なる鬼火(ignis fatuus)精霊にて 語源は — 英語Will of the Wisp(藁束の松明を持ちたるウィル)にて — 千六百七年英国初登録 — 結定的正典語彙である。沼地と湿地と荒野にて闇夜に揺らぐ小さき青き光あるいは黄き光の形にて — 近づけば遠ざかり遠ざかれば近づく — 道を失ひたる旅人を沼の中へ誘ひて死に至らしむる — 結定的正典図像である。最も決定的なる語源正典は十六世紀イングランドの — 邪なる鍛冶師ウィル(Smith Will) — が死後天国と地獄の両方にて拒まれて — 悪魔が与ふる石炭を藁束の松明にて持ちて永遠に沼地を彷徨ふ — との結定的正典伝説にて 最も決定的なる文学正典は千六百三十一年英国詩人ジョン・ミルトン(John Milton 千六百八年から千六百七十四年)の双詩快活なる者(L'Allegro)百四行 — プライアーズ・ランタンに導かれて(led by the Friar's Lantern) — の結定的正典と千八百四十五年四月七日丁抹コペンハーゲン出版のハンス・クリスチャン・アンデルセン(Hans Christian Andersen 千八百五年から千八百七十五年)の童話鬼火は町にありとて沼の老婆が言ふ(Lygtemændene ere i Byen sagde Mosekonen) — 結定的アンデルセン童話正典 — である。最も決定的なる二十一世紀映画正典は二千十二年六月二十二日米国公開のピクサー(Pixar)動画メリダとおそろしの森(Brave) — 蘇格蘭の王女メリダを青き光のウィル・オ・ザ・ウィスプが運命へと導く — 結定的グローバル映画正典である。

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ナイアド

精霊王

Naiad · エライム · エルクイネス — 水の精霊王

ナイアド(希臘語Ναϊάς Naiás 複Ναϊάδες Naiades 英語Naiad)は希臘神話の淡水(泉と川と湖と井)に宿る水源(水源)精霊(νύμφη nymphe)にて 美しき人間女性の形にて自らの宿る水源の神性を具現する — 希臘神話自然精霊の決定的正典図像である。語源は希臘語動詞ナエイン(ναίειν naein 流るる)に由来し 四大精霊の分類 — ナイアド(淡水)とオケアニド(Oceanids 大洋)とネレイド(Nereids 海塩水)とドリアド(Dryads 樹) — の中淡水の決定的正典である。最も決定的なる文献正典は紀元前七百年頃希臘詩人ヘシオドス(Ἡσίοδος Hesiodos)の神統記(Θεογονία Theogonia) — 三百六十四から三百七十行 川の神オケアノス(Ὠκεανός Okeanos)と其の姉妹テティス(Τηθύς Tethys)の間に生まれたる三千名の姉妹オケアニドと三千名の川神(Potamoi)正典 — がナイアド正典の決定的文献にて 紀元前八世紀ホメロス(Ὅμηρος Homeros)の叙事詩イリアス(Ἰλιάς)巻十四と巻二十とオデュッセイア(Ὀδύσσεια)巻十三と巻十七に川の精霊が決定的に登場する。希臘デルフォイ(Δελφοί)アポロン神殿の傍のカスタリア泉(Κασταλία Kastalia)に宿るナイアドのカスタリア — 詩の予言の靈感の正典 — が最も決定的なる個別のナイアドにて 千八百九十六年英国ラファエル前派画家ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(John William Waterhouse 千八百四十九年から千九百十七年)の絵画ヒュラスと精霊たち(Hylas and the Nymphs)が十九世紀ヴィクトリア時代ナイアド視覚正典を確立した。

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イグニス・ファトゥス

精霊王

Ignis Fatuus · イグニス — 光の精霊王

イグニス・ファトゥス(羅典語ignis fatuus 英語ignis fatuus・will-o'-the-wisp 独逸語Irrlicht 仏蘭西語feu follet)は沼地の自然燐光現象を指す — 羅典語 愚かなる火(ignis 火 + fatuus 愚かなる) — の決定的正典学名にして 沼地のメタンガス(CH4)とホスフィン(PH3)の自然発火と推定さるる青き光が旅人を誘ひて道を失はしむる — 中世欧州民俗と英文学結定的正典の図像である。語源は羅典語ignis(火)とfatuus(愚かなる)の合成にて 一世紀羅馬博物学者大プリニウス(Plinius Maior 二十三年から七十九年)の博物誌(Naturalis Historia)に登場せし以来 — 十六から十八世紀博物誌の結定的学名として定着した。最も決定的なる文献正典は千五百九十七年英国シェイクスピア(William Shakespeare 千五百六十四年から千六百十六年)の史劇ヘンリー四世第一部(Henry IV, Part 1)第三幕第三場にて — フォルスタッフ(Falstaff)卿がバードルフ(Bardolph)の紅き鼻を — ignis fatuus or a ball of wildfire(イグニス・ファトゥスあるいは火の球) — に喩へし — 結定的英文学登載にて 最も決定的なる詩正典は千六百六十七年英国詩人ジョン・ミルトン(John Milton 千六百八年から千六百七十四年)の叙事詩失楽園(Paradise Lost)巻九六百三十四から六百四十二行 — サタンがイヴを誘惑する姿を沼地のイグニス・ファトゥスに喩へし — 結定的英文学正典である。千九百七十七年米国TSR社ガイギャックスのD&Dモンスター・マニュアルのウィルオウィスプ(Will-o-Wisp) — 五版(二千十四年)現在まで一貫 — が現代幻想RPG鬼火の決定的正典である。

salamander
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サラマンダー

下位

Salamander · 火車(Kasha) — 下位の炎の精霊

サラマンダー(羅典語Salamandra 希臘語σαλαμάνδρα salamandra 英語Salamander)は千五百六十六年瑞西の医学者と錬金術師パラケルスス(Paracelsus 千四百九十三年から千五百四十一年)の死後出版羅典語著書精霊と空気精と小人と火精の書(Liber de Nymphis Sylphis Pygmaeis et Salamandris)の四大元素精霊(Elemental Spirits)中火(Ignis)を担ふ決定的正典精霊である。山椒魚の形の小さき精霊にて全身が炎に包まれて火爐と熔鑛爐に宿りて鍛冶屋と錬金術師の決定的守護霊として正典化された。図像学的起源は ① 紀元前四世紀アリストテレス(Ἀριστοτέλης Aristoteles 紀元前三百八十四年から三百二十二年)の動物誌(Ἱστορία ζῴων Historia Animalium)巻五十九章の — サラマンドラが火の中を歩きて火を消すとの — 正典的記録と ② 七十七年羅馬自然学者老プリニウス(Gaius Plinius Secundus 二十三年から七十九年)の百科事典自然史(Naturalis Historia)巻十八十六章の — サラマンドラが火に依りて生まるとの — 正典的誤解より発した。最も決定的なる正典は千五百六十六年パラケルススの四大元素精霊論 — ウンディーネ(Undine 水)とシルフ(Sylph 空気)とノーム(Gnome 土)とサラマンダー(Salamander 火) — にてサラマンダーがルネサンス欧州火炎精霊の決定的正典となった。千九百七十七年米国TSR社ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax 千九百三十八年から二千八年)のD&Dモンスター・マニュアルのサラマンダー怪 — 五版(二千十四年)現在まで一貫 — が現代幻想RPG火炎精霊の決定的正典である。

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エリアル

精霊王

Ariel · Sylphid · Minervar — 風の精霊王

エアリエル(英語Ariel 希伯來語アリエル 神の使者あるいは神の獅子 羅典語Ariel)は千六百十一年英国劇作家ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare 千五百六十四年から千六百十六年)の最後の単独喜劇テンペスト(The Tempest)に登場する空気の精霊にて 魔法師プロスペロー(Prospero)の忠実なる僕として見えざる姿にて嵐と幻影と音楽を自在に操る英文学空気精霊の決定的正典図像である。語源は希伯來語アリエル(獅子・エル) — 旧約聖書イザヤ書二十九章一から二節の耶路撒冷の別称 — に由来し 十四から十六世紀欧州カバラ神秘主義にて アリエルが — 七十二天使シェムハメフォラシュ(Shem HaMephorash) — の空気元素(Air)の天使として正典化されて千五百三十三年獨逸神秘主義者ハインリッヒ・コルネリウス・アグリッパ(Heinrich Cornelius Agrippa 千四百八十六年から千五百三十五年)のオクルタ哲学について(De Occulta Philosophia Libri Tres)巻三に決定的に記録された。最も決定的なる正典は千六百十一年十一月一日英国倫敦ホワイトホール宮(Whitehall Palace)初演されたるシェイクスピアのテンペスト(千六百二十三年シェイクスピア第一フォリオ巻一に出版) — 一幕二場から四幕までエアリエルがアルジェリアの魔女シコラックス(Sycorax)に依りて松の中に十二年間閉じ込められたるをプロスペローに救出されて十二年間奉仕の代価に自由を約されたる筋 — が英文学空気精霊の決定的正典である。千七百十四年アレキサンダー・ポープ(Alexander Pope 千六百八十八年から千七百四十四年)の風刺詩髪の毛の強奪(The Rape of the Lock)のシルフ・エアリエルが十八世紀英文学空気精霊正典を拡張し 千九百七十七年米国TSR社ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax)のD&Dモンスター・マニュアルのエア・エレメンタル(Air Elemental)とシルフ(Sylph)正典が現代幻想RPG空気精霊の決定的正典図像である。

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ドリュアド

精霊王

Dryad — 森の精霊王

ドリュアード(希臘語Δρυάς Dryas 複Δρυάδες Dryades 英語Dryad)は希臘神話の森と樹に宿る樹の精霊(νύμφη nymphe)にて 本来樫(δρῦς drys)に宿る精霊を意味したるも後代凡ての樹に宿る精霊の総称に拡張されたる希臘神話自然精霊の決定的正典図像である。語源は希臘語ドリス(δρῦς drys 樫)に由来し 精霊の四大分類 — ナイアド(淡水)とオケアニド(大洋)とネレイド(海塩水)とドリュアード(樹)とオレアド(山) — の中樹の決定的正典である。特殊正典のハマドリュアード(Ἁμαδρυάς Hamadryas 樹と共に)は — 一本の樹に永久結縛されて樹の生死と運命を共にする — ドリュアードの決定的変容正典である。最も決定的なる文学正典は紀元八年頃羅馬詩人オウィディウス(Publius Ovidius Naso 紀元前四十三年から紀元十七年)の変身物語(Metamorphoses)巻八七百三十八から八百七十八行のエリュシクトン(Erysichthon)正典 — テッサリアの王エリュシクトンがデメテルの神聖なる森の樫を斫りてハマドリュアードを殺せばデメテルが飢の精霊リモス(Limos)を遣りて永遠の飢にて処罰して終に自らを食はせし悲劇 — にて 千九百七十七年米国TSR社ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax 千九百三十八年から二千八年)のD&Dモンスター・マニュアルのドリュアード(Dryad)怪 — 五版(二千十四年)現在まで一貫 — が現代幻想RPG樹の精霊の決定的正典である。

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ノーム

下位

Gnome · アースワーム — 下位の大地の精霊

ノーム(羅典語Gnomus 英語Gnome)は千五百六十六年瑞西の医学者と錬金術師パラケルスス(Paracelsus 本名テオプラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム 千四百九十三年から千五百四十一年)の死後出版羅典語著書精霊と空気精と小人と火精の書(Liber de Nymphis Sylphis Pygmaeis et Salamandris)の四大元素精霊(Elemental Spirits)中土(Terra)を担ふ決定的正典精霊である。小さき老人の姿(通常三十糎程)に白き髭と赤き帽子の決定的図像にて — 地中と洞窟と岩と鉱山に居住し宝石と鉱物と金属の採掘に長じたる宝の守護者 — 人間を避くる正典的図像である。語源は羅典語グノムス(Gnomus) — パラケルススが希臘語ゲノモス(γηνόμος gē-nomos 大地に住む者)あるいはグノーシス(γνῶσις gnōsis 知)より新造したる — 決定的正典語彙である。最も決定的なる正典は千五百六十六年瑞西バーゼル(Basel)にて死後出版されたるパラケルススの四大元素精霊論 — 物(Undine)と空気(Sylph)と土(Gnomus)と火(Salamander) — にてノームがルネサンス欧州土の精霊の決定的正典となった。千八百七十二年獨逸テューリンゲン(Thüringen)州グレーフェンローダ(Gräfenroda)のフィリップ・グリーベル(Philipp Griebel)工房の初の陶器庭園ノーム(Gartenzwerg)製作が十九から二十世紀グローバル庭園装飾ノーム正典を決定的に位置付け 千九百七十七年米国TSR社ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax)のD&Dモンスター・マニュアルのノーム種族 — 五版(二千十四年)現在まで一貫 — が現代幻想RPGノーム種族正典である。

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ジャック・フロスト

下位

Jack Frost — 下位の氷の精霊

ジャック・フロスト(Jack Frost)は英国と斯堪的那維亜民譚に登場する霜と寒さの擬人化されたる精霊にて 若き少年あるいは悪戯なる老人の姿にて現れて冬の朝窓に氷の花模様(frost ferns 霜羊歯)を描きて人の鼻と足先を冷えしむる結定的正典図像である。語源は英語ジャック(Jack 一般の男の名)とフロスト(Frost 霜)の合成にて 英語ジャック・フロストの初の決定的文献記録は千七百三十四年英国旅行雑誌ロンドン・マガジンの詩 'A Mountain of Frost' に登場する。図像学的起源は ① 千二百三十年頃氷島詩人スノッリ・ストゥルルソン(Snorri Sturluson 千百七十九年から千二百四十一年)の英雄歴史(Heimskringla)ハールヴダン・スヴァルティのサガ第一章のノルド神話霜の巨人ヨークル(Jökull 氷河)と父プロスティ(Frosti 霜)正典と ② 千八百五十五年から千八百六十三年露西亜民俗学者アレクサンドル・アファナーシェフ(Alexander Afanasyev 千八百二十六年から千八百七十一年)の露西亜民話集のモロゾコ(Morozko 小さき霜)と祖父霜(Ded Moroz)正典が結合せし結果である。最も決定的なる現代正典は千九百四十四年米国作曲家メル・トーメ(Mel Tormé 千九百二十五年から千九百九十九年)と作詞家ロバート・ウェルス(Robert Wells)の歌 クリスマス・ソング(The Christmas Song) — ジャック・フロストが汝の鼻を噛む(Jack Frost nipping at your nose) 歌詞 — が二十世紀グローバル・ジャック・フロスト正典を決定的に位置付け 二千十二年十一月二十一日米国公開ドリームワークス・アニメーション映画ガーディアンズ(Rise of the Guardians ウィリアム・ジョイス原作)の主人公ジャック・フロストが二十一世紀グローバル・ジャック・フロスト映画正典である。

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ファイアー・ドレイク

上位

Fire-Drake · イグニス(Ignis) · サライム(Salaime) — 上位の炎の精霊

ファイア・ドレイク(古英語fȳrdraca 英語fire-drake)は古英語と諾爾斯神話の火を吐く龍(draca)を指す決定的正典名にて 語源は古英語fȳr(火)とdraca(羅典語draco・希臘語drakōnより借用 龍)の合成にて 英語dragonの古形である。最も決定的なる文献正典は八から十世紀頃匿名作者の古英語叙事詩ベオウルフ(Bēowulf 全三千百八十二行)巻三二千二百から三千百八十二行 — 英雄ベオウルフがゲアト(Gēat)王国を五十年治めし老年に — 一人の盗人が眠れる火龍(fȳrdraca)の宝を盗み来れば — 龍がゲアト王国を火にて荒廃せしめて — ベオウルフが忠実なる部下ウィグラーフ(Wīglāf)と共に龍を屠るも — 龍の毒にてベオウルフも死す — 決定的正典である。ベオウルフ単一寫本 — 約千年頃寫されしノーウェル・コーデックス(Nowell Codex 英国図書館コットン・ヴィテリウスA.xv) — が決定的文献正典にて 千九百三十七年九月二十一日英国出版のJ・R・R・トールキン(J. R. R. Tolkien 千八百九十二年から千九百七十三年)のホビット(The Hobbit)のスマウグ(Smaug) — 孤独な山(Lonely Mountain)の下の宝を守る火龍 — が二十世紀グローバル幻想火龍正典の決定的変容にて 千九百七十七年米国TSR社ゲイリー・ガイギャックスのD&Dモンスター・マニュアルの紅龍(Red Dragon 火のブレス) — 五版(二千十四年)現在まで一貫 — が現代幻想RPG火龍の決定的正典である。

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ニクス

下位

Nix · ナイアス · ウンディーネ — 下位の水の精霊

ニックス(古英語nicor 古ノルド語nykr 独逸語Nix・Nixe 英語NixあるいはNixie)はゲルマンとスラヴ民譚の川と湖と井戸等淡水に宿る水の精霊の決定的正典図像にて 魅惑的なる人間の形(主に美女あるいは美男)にて現れて音楽と歌にて人間を水中に誘ふ — 本の姿は魚の尾と魚の鱗あるいは緑の肌の決定的正典図像である。語源は原始印欧語*neigʷ-(洗ふ 浄む)に由来し — ゲルマン祖語*nikwizを経て — 古英語nicor・古ノルド語nykr・古高地独逸語nihhusの結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は八から十世紀頃匿名作者の古英語叙事詩ベオウルフ(Bēowulf)巻一四百二十二行と巻二千四百二十七行 — 英雄ベオウルフがフルンティングの剣を持ちてグレンデルの母と戦ふ湖の水の怪 nicras — がゲルマン正典の決定的始原にて 千八百十二年から千八百十五年独逸グリム兄弟(Brüder Grimm ヤコブとヴィルヘルム)の子供と家庭の童話(Kinder- und Hausmärchen)七十九番水車小屋の池のニクセ(Die Nixe im Teich)が十九世紀独逸童話ニックス正典の決定的正典である。千七百七十九年独逸詩人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe 千七百四十九年から千八百三十二年)の詩漁師(Der Fischer)と千八百二十四年独逸詩人ハインリヒ・ハイネ(Heinrich Heine 千七百九十七年から千八百五十六年)の詩ローレライ(Die Loreley)が十九世紀独逸浪漫主義ニックス詩正典を確立し 千九百一年三月三十一日プラハ国立劇場初演の安東·ドヴォルザーク(Antonín Dvořák 千八百四十一年から千九百四年)のオペラ・ルサルカ(Rusalka)がスラヴ・ニックス正典の決定的音楽正典である。

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ネレイド

上位

Nereid · シクエル · エンダイロン — 上位の水の精霊

ネレイス(希臘語Νηρηΐς Nereis 複Νηρηΐδες Nereides 英語Nereid)は希臘神話の海の老人ネレウス(Νηρεύς Nereus)とオケアニスのドーリス(Δωρίς Doris)との間に生まれたる — 五十名の海の精霊姉妹(νύμφη nymphē) — の決定的正典図像である。精霊の四大分類 — ナイアド(淡水)とオケアニド(大洋)とネレイス(海塩水)とドリュアード(樹)とオレアド(山) — の中海塩水の決定的正典にて 最も決定的なる文献正典は紀元前七百年頃希臘詩人ヘシオドス(Ἡσίοδος Hesiodos)の神統記(Θεογονία Theogonia)二百四十から二百六十四行 — ネレイス五十名全員の名を呼ぶ — 結定的正典である。最も決定的なるホメロス正典は紀元前八世紀ホメロス(Ὅμηρος Homeros)のイリアス(Ἰλιάς)巻十八三十五から六十四行 — 英雄アキレウス(Ἀχιλλεύς)の母にしてネレイスのテティス(Θέτις Thetis)が息子の友パトロクロス(Πάτροκλος Patroklos)の死に悲しむ折に — 三十三名のネレイス姉妹が深き海洞より上り慰むる — 希臘叙事詩の決定的正典の場にて 最も決定的なる視覚正典は千五百十二年頃伊太利ルネサンス画家ラファエロ(Raffaello Sanzio da Urbino 千四百八十三年から千五百二十年)の絵画ガラテアの勝利(Trionfo di Galatea) — 羅馬ヴィラ・ファルネジナ(Villa Farnesina)所蔵 — がルネサンス・ネレイス視覚正典の決定的決定作である。

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フェニックス

精霊王

Phoenix · サリオン(Sallion) — 炎の精霊王

フェニックス精霊(希臘語Φοῖνιξ Phoinix 羅典語Phoenix 英語Phoenix)は古代埃及のベヌウ(Bennu)鳥と希臘のフェニックス伝承を精霊に変容したる — 五百年あるいは千年周期にて自焚後灰より復活する不滅の火の鳥 — の決定的正典図像である。語源は希臘語ポイニクス(Φοῖνιξ 真紅あるいは腓尼基の鳥)と推さるるも 古代埃及のベヌウ(bennu 昇る者) — ヘリオポリス(Heliopolis)のラ(Ra)太陽神とオシリス(Osiris)復活の決定的正典神聖鳥 — が希臘フェニックス図像の決定的始原である。最も決定的なる文献正典は紀元前五世紀希臘歴史家ヘロドトス(Ἡρόδοτος Herodotos 約紀元前四百八十四年から四百二十五年)の歴史(Ἱστορίαι)巻二七十三章 — ヘリオポリスの太陽神殿にてフェニックスを見たる埃及司祭の証言と — 五百年周期にて阿拉比亜よりヘリオポリスに来りて — 父フェニックスの屍を没薬の卵に入れて運ぶ — 結定的正典にて 最も決定的なる羅典文学正典は紀元八年頃羅馬詩人オウィディウス(Publius Ovidius Naso 紀元前四十三年から紀元十七年)の変身物語(Metamorphoses)巻十五三百九十二から四百七行の — 千年周期自焚と灰よりの復活 — 結定的正典である。最も決定的なる現代正典は千九百九十七年から二千七年英国作家J・K・ローリング(J. K. Rowling 千九百六十五年生)のハリー・ポッター(Harry Potter)シリーズのダンブルドア校長の不死鳥フォークス(Fawkes) — 千九百九十八年ハリー・ポッターと秘密の部屋第十二章にて初登場 — が二十一世紀グローバル・フェニックス正典の決定的決定作である。

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ウンディーネ

中位

Undine — 中位の水の精霊

ウンディーネ(羅典語Undina 独逸語Undine 英語Undine)は千五百六十六年瑞西の医学者と錬金術師パラケルスス(Paracelsus 本名テオプラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム 千四百九十三年から千五百四十一年)の死後出版羅典語著書精霊と空気精と小人と火精の書(Liber de Nymphis Sylphis Pygmaeis et Salamandris)の四大元素精霊(Elemental Spirits)中物(Aqua)を担ふ決定的正典精霊である。語源は羅典語ウンダ(unda 物波 波)より派生したる — パラケルススの新造語ウンディナ(Undina) — の決定的正典語彙にて 美しき人間の女の形にて — 瀑布と湖と泉等淡水に宿りて — 本来霊無きも人間と婚姻すれば霊を得る — 決定的正典図像である。最も決定的なる文学正典は千八百十一年独逸浪漫主義作家フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケ(Friedrich de la Motte Fouqué 千七百七十七年から千八百四十三年)の短編小説ウンディーネ(Undine) — 人間の騎士フルブラント(Huldbrand)と婚姻して霊を得たるウンディーネが夫の背信にて死に至るる — 結定的浪漫主義悲劇正典にて 千八百十六年八月三日伯林王立劇場初演E・T・A・ホフマン(E. T. A. Hoffmann 千七百七十六年から千八百二十二年)のオペラ・ウンディーネ(Undine) — フーケ自らの台本 — が独逸浪漫主義オペラの決定的正典である。千九百五十八年十月二十七日倫敦コヴェント・ガーデン王立オペラ・ハウス初演ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze 千九百二十六年から二千十二年)のバレエ・ウンディーネ(フレデリック・アシュトン振付 マーゴ・フォンテイン主演ウンディーネ)が二十世紀バレエの決定的正典である。

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サンダーバード

中位

サンダーバード — 電気の中位精霊

サンダーバード(英語Thunderbird アルゴンキン・オジブウェ語アニミキ Animikii ラコタ語ワキンヤン Wakíŋyaŋ)は北米原住民神話に広く登場する — 鷲やコンドルを似たる巨大なる鳥の形 — の霊的存在にて 翼を打つ毎に雷鳴り眼より稲妻を放つる — 結定的正典図像である。語源は英語Thunderbird(雷の鳥)にて 千八百三十年代米国博物学者と民俗学者がアルゴンキン・オジブウェのアニミキ(animikii 雷の者)とラコタのワキンヤン(wakiŋyaŋ 飛びゆく神聖)を英語に訳して定着したる結定的正典語彙である。最も決定的なる部族伝承は ① アルゴンキン・オジブウェ(Algonquian/Ojibwe) — ミシガン湖と大湖地域の — 結定的雷鳥正典と ② ラコタ(Lakota) — ダコタとブラックヒルズ地域のワキンヤン — 結定的正典と ③ 太平洋北西部海岸部族ハイダ(Haida)とクワクワカワク(Kwakwaka'wakw) — 加奈陀ブリティッシュコロンビア海岸の — トーテムポール(totem pole)頂結定的正典図像である。最も決定的なる文献記録は千八百四年から千八百六年米国ルイス・クラーク探検隊(Lewis and Clark Expedition)の日誌に記録されし — コロンビア川近の原住民の雷鳥信仰 — 結定的正典と千八百四十九年米国民俗学者ヘンリー・スクールクラフト(Henry Rowe Schoolcraft 千七百九十三年から千八百六十四年)のアルジック研究(Algic Researches 全二巻)が — オジブウェ・アニミキ正典を — 結定的に英語学術正典化せし事件にて 千八百五十五年十一月十日米国出版のヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー(Henry Wadsworth Longfellow 千八百七年から千八百八十二年)の叙事詩ハイアワサの歌(The Song of Hiawatha 全二十二章)が十九世紀米国文学結定的雷鳥正典である。

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フライアーズ・ランタン

下位

Friar's Lantern · ジャック・オー・ランタン — 下位光の精霊

プライアーズ・ランタン(英語Friar's Lantern 修道士の灯)は英国民譚の鬼火(will-o'-the-wisp)の結定的正典変形名にて 千五百六十八年頃英国にて出版されたる匿名散文寓話プライアー・ラッシュの歴史(The History of Friar Rush) — 十六世紀イングランドの悪戯好きの修道士精霊プライアー・ラッシュ(Friar Rush) — が語源の結定的正典である。沼地と荒野と教会の地に揺らぐ小さき光の形にて — 松明か灯を持ちたる修道士の形にて — 旅人を誘ひて道を失はしむる — 結定的正典図像である。最も決定的なる文学正典は千六百三十一年英国詩人ジョン・ミルトン(John Milton 千六百八年から千六百七十四年)の詩快活なる者(L'Allegro)百四行 — プライアーズ・ランタンに導かれて(led by the Friar's Lantern) — の語彙にて英文学正典化したる結定的事件にて 千五百九十五年から千五百九十六年ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare 千五百六十四年から千六百十六年)の戯曲真夏の夜の夢(A Midsummer Night's Dream)第二幕第一場の — ロビン・グッドフェロー(Robin Goodfellow)なるパック(Puck)が — 我は夜の陽気なる漂浪者(I am that merry wanderer of the night) — と自らを — 旅人を誤れる道に導く精霊として説明する — 英文学結定的正典が千六百三十一年ミルトン正典の決定的先行正典である。ジャック・オ・ランタン(Jack-o'-lantern)と同じ家族の結定的鬼火精霊である。

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シルフ

中位

Sylph · Shuriel · Sylaphe — 中位の風の精霊

シルフ(羅典語Sylphus 英語Sylph 仏蘭西語Sylphe)は千五百六十六年瑞西の医学者と錬金術師パラケルスス(Paracelsus 本名テオプラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム 千四百九十三年から千五百四十一年)の死後出版羅典語著書精霊と空気精と小人と火精の書(Liber de Nymphis Sylphis Pygmaeis et Salamandris)の四大元素精霊中空気(Aer)を担ふ決定的正典精霊である。語源は羅典語sylphus — パラケルススが希臘語シルペー(σίλφη silphē 蝶 蛾)と羅典語シルウェストリス(sylvestris 森の)の合成にて新造 — にて 自由奔放にして透明なる人型 蜻蛉や蝶の如き翼の正典図像である。千七百十二年五月四日英国出版のアレクサンダー・ポープ(Alexander Pope 千六百八十八年から千七百四十四年)の風刺詩髪の毛の強奪(The Rape of the Lock 千七百十四年五巻拡張版)にて女の魂が死後シルフと化して処女を護るとの結定的英文学正典が確立され 千八百三十二年三月十二日巴里ル・ペルチエ歌劇場初演の発勒ラ・シルフィード(La Sylphide シュナイトホッファー作曲 フィリッポ・タリオーニ振付 マリー・タリオーニ主演)が発勒史上初のトウシューズ公演として十九世紀浪漫発勒の決定的正典となった。

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ハマドリュアス

中位

Hamadryad — 森の中位精霊

ハマドリュアード(希臘語Ἁμαδρυάς Hamadryas 複Ἁμαδρυάδες Hamadryades 英語Hamadryad)は希臘神話の樹の精霊にて 一般のドリュアードと異なり — 一本の特定の樹に永久結縛されて — 其の樹の寿命と運命を共にする結定的正典図像である。語源は希臘語ハマ(ἅμα hama 共に)とドリス(δρῦς drys 樫 樹)の合成にて — 樹と共に — を意味する結定的正典語彙にて 一般のドリュアード(Δρυάς Dryas)が凡ての樹に宿る自由なる精霊なるに対し — ハマドリュアードは一本に永久結縛されたる — 決定的変容正典である。最も決定的なる文献正典は紀元前七百年頃希臘詩人ヘシオドス(Ἡσίοδος Hesiodos)のキロンの教訓(Χείρωνος Ὑποθῆκαι)の断片正典 — 後代一世紀頃希臘作家プルタルコス(Πλούταρχος Ploutarchos)が神託の衰微について(De Defectu Oraculorum)十一章にて引用 — にてハマドリュアードの寿命が鴉の九世代(約九年かける九等八十一年)と等しとの結定的正典にて 紀元前四から三世紀亜歴山大里亜詩人アポロニオス・ロディオス(Apollonios Rhodios 紀元前二百九十五年から二百十五年)の叙事詩アルゴナウティカ(Ἀργοναυτικά)巻二四百七十六から四百八十五行 — フリギアの羊飼ラエラプス(Laelaps)がハマドリュアードの樫を斫らざれば — ハマドリュアードが彼を祝福する — 結定的正典である。最も決定的なる羅典文学正典は紀元八年頃羅馬詩人オウィディウス(Publius Ovidius Naso 紀元前四十三年から紀元十七年)の変身物語(Metamorphoses)巻八七百三十八から八百七十八行の — テッサリアの王エリュシクトン(Erysichthon)がデメテルの神聖なる森の巨大な樫を斫りてハマドリュアードを殺せばデメテルが飢の精霊リモス(Limos)を遣りて永遠の飢にて処罰して終に自らを食はしむる — 結定的正典悲劇である。

🐉神・魔(29)
metatron

メタトロン

Metatron · 天界の書記 — 神の口、神聖な記録の天使

メタトロン(希伯來語Mēṭāṭrōn 希臘語Metatrōn)は猶太教カバラと外典伝統の最高位の天使の一にて 神に最も近き席に立つ者 と 小ヤハウェ(Lesser YHVH) と 存在の君(Sar ha-Panim) と 天の書記 として呼ばるる結定的正典図像である。語源は希臘語のmeta(超えて 近く)+thronos(玉座) — 玉座の傍に立つ者 — 又は希臘語のmetator(伝令 案内者)より派生せし結定的正典語彙にて多の語源が共存する結定的正典である。別名はヤホエル(Yahoel)とサル・ハ・パニム(Sar ha-Panim 存在の君)とサル・ハ・オラム(Sar ha-Olam 世界の君)とミタトロン(Mitatron)と小ヤハウェ(Lesser YHVH)が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は西暦五から六世紀頃の三エノク書(3 Enoch Sefer Hekhalot)第四から十六章の人エノク(Enoch)が昇天の後に変容されてメタトロンと為りし結定的始原正典と四から六世紀のバビロン・タルムード・ハギガ十五甲のエリシャ・ベン・アブヤ(Aher)がメタトロンが天にて座せしを見て 天に二の権あり(two powers in heaven) の異端と誤解せし結定的正典である。千二百八十年代モーセ・デ・レオン(Moses de Leon)の光輝の書(Zohar)のカバラの結定的正典にて生命の樹(Sephirot)のケテル(Kether)の天使にて 千九百九十九年十一月十二日米国公開の映画ドグマ(Dogma ケヴィン・スミス監督)のアラン・リックマン(Alan Rickman)演ずるメタトロンが二十一世紀結定的映像正典である。

seraphim

セラフィム

Seraphim· 天使九階級の最高位 神を囲む燃える者たち

セラフィム(希伯來語Səraphim 単数Saraph)は猶太と基督教の天使学 — 結定的正典 — の九階級の天使の位階の最高位の階級にて — 語源 — 希伯來語のサラフ(saraph) — 燃ゆ(to burn) — より派生せし — 燃ゆる者ら(burning ones) — の結定的正典図像である。別名 — 燃ゆる者ら(burning ones)と火の天使(fiery angels)と神の御座の守者(guardians of the throne)と智天使(ケルブ)と共に神に最も近き二の階級 — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は紀元前八世紀頃のイザヤ書(Isaiah)第六章一から七節のイザヤが見し幻にて神の御座の周りを飛びて 聖なるかな聖なるかな聖なるかな万軍のヤハウェよ 其の栄光は全地に満つ(Holy holy holy Lord of Hosts) を唱ふる六の翼を有する結定的始原正典と西暦五から六世紀頃の偽(僞)ディオニシオス(Pseudo-Dionysius)の天上の位階(De Coelesti Hierarchia)第七章の九階級の天使の位階の一階級の結定的正典である。十三世紀のトマス・アクィナス(Thomas Aquinas)の神学大全(Summa Theologica)第一部百八問五節の結定的正典と千二百二十四年九月十四日のアシジの聖フランチェスコ(St. Francis of Assisi)のラ・ヴェルナ(La Verna)の山にての六の翼のセラフィム幻視と聖痕(stigmata)の結定的正典である。

cherubim

ケルビム

Cherubim· 天使九階級第二位 神の知恵と御座の守護者

ケルビム(希伯來語kerubim 単数ケルブkerub 希臘語cheroubin 羅典語cherubim)は猶太と基督教の天使学 — 結定的正典 — の九階級の中セラフィム(Seraphim)の次の第二位の天使にて神の御座を支へて神聖なる智慧を伝へる結定的正典図像である。語源はアッカド語のkaribu(仲介者)又はアラム語のkerub(近き)より派生したる結定的正典語彙にて アッシリアのラマッス(lamassu)とシェドゥ(shedu)の牡牛と人と鷲の複合の図像の影響が結定的正典である。最も決定的なる文献正典は紀元前六世紀頃の創世記(Bereshit)第三章二十四節 — エデンの園の路を守る ケルビムと回転する火焔の剣(lahat ha-herev ha-mithapeketh) 結定的正典 — と出エジプト記(Shemot)第二十五章十八から二十二節と第二十六章三十一節 — 契約の櫃(Ark of the Covenant)の上の贖罪所(kapporet)の黄金の二のケルビム結定的正典 — と列王紀上第六章二十三から二十八節 — ソロモン神殿の十キュビト(約四点五米)のケルビム結定的正典である。紀元前五百九十三から五百七十一年のエゼキエル書(Yehezkel)第一章五から十四節の 四の生物(chayot 人と獅子と牡牛と鷲の顔と四の翼) 結定的正典と第十章のケルビムと輪(ophanim)結定的正典にて 西暦五から六世紀の偽ディオニュシオス・アレオパギテース(Pseudo-Dionysius the Areopagite)の天上位階論(De Coelesti Hierarchia)第七章の九階級の中第二位結定的正典である。

ophanim

オファニム

Ophanim· 天使九階級第三位 神の車輪、正義の御座

オファニム(希伯來語Ofannim 単数Ofan)は猶太と基督教の天使学 — 結定的正典 — の九階級の第三位の天使にて — 語源 — 希伯來語の オファン(ofan) — 輪(wheel) — の複数形の結定的正典図像である。別名 — オファニム(Ophanim)とガルガリム(Galgalim 輪等)と座天使(Thrones 羅典Throni)と神の戦車(Merkabah メルカバ)の輪 — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は紀元前六世紀頃のエゼキエル書(Ezekiel)第一章十五から二十一節と第十章九から十三節のケルブの傍の巨大なる輪の中の又別の輪(Wheel within a wheel)の輪の縁が無数の眼にて満たさるる結定的始原正典と紀元前二世紀頃のダニエル書(Daniel)第七章九節の 古しへより常に座します者 の 火の輪 の御座の結定的正典である。西暦五から六世紀頃の偽(僞)ディオニシオス(Pseudo-Dionysius the Areopagite)の天上の位階(De Coelesti Hierarchia)第七章の九階級の天使の位階の第三位の座天使(Thrones)として羅典化されし結定的神学正典と十三世紀のトマス・アクィナス(Thomas Aquinas)の神学大全(Summa Theologica)第一部百八問の座天使の結定的正典である。最も決定的なる十四世紀正典は千三百二十年頃のダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)の神曲(Divina Commedia)天国篇(Paradiso)第二十八歌百三から百五行の九階級の天使の位階の第三位の座天使の結定的正典である。

satan

サタン

Satan· 大いなる敵対者 怒りの王、人類の告発者

サタン(希伯來語Satan 希臘語Satanas 羅典語Satanas 阿藍語Satana)は猶太と基督教と回教の伝統 — 結定的正典 — の最高の悪魔にて — 語源 — 希伯來語の サタン(satan) の 大敵者(adversary)又は告発者(accuser) の結定的正典語彙である。別名 — ディアボロス(Diabolos 希臘語 誹謗者)と悪魔(devil)とルシファー(Lucifer 光の運び手)とベリアル(Belial)とベルゼブブ(Beelzebub)とイブリース(Iblis 回教のサタン)と古き蛇(old serpent)と大龍と暗の君(prince of darkness) — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は紀元前六から四世紀頃のヨブ記(Job)第一章六から十二節と第二章一から七節 — 天上の法廷にてヨブ(Job)を試す大敵者(satan 定冠詞を用ふ)の結定的始原正典と紀元前六から五世紀頃のゼカリヤ書(Zechariah)第三章一から二節 — ヨシュア(Joshua)を告発するサタン結定的正典である。西暦一世紀のマタイによる福音書(Matthew)第四章一から十一節とルカによる福音書(Luke)第四章一から十三節 — 荒野にてのイエス・キリストの四十日の試結定的正典とヨハネの黙示録(Revelation)第十二章七から九節 — 天上の戦にて大龍たるサタンがミカエル大天使に敗れて落つる結定的正典と第二十章一から三節と十節 — 千年の縛と最後の永の火と硫黄の池の結定的正典である。

beelzebub

ベルゼブブ

Beelzebub · 蝿の王 — 暴食の大公

ベエルゼブブ(希伯來語Baʿal-Zəvuv 希臘語Beelzeboul 羅典語Beelzebub)は猶太と基督教伝統 — 結定的正典 — の大悪魔にて — 語源 — 希伯來語のバアル・ゼブブ(Baal-zebub) — 蝿の主(Lord of the Flies) — の結定的正典語彙にて本ペリシテのエクロン(Ekron)の市にて崇拝されし神 バアル・ゼブル(Baal-Zebul 高貴なる主) を猶太人が蔑し バエの主(ゼブブ=蝿) と称せし結定的正典図像である。別名 — ベエルゼブル(Beelzeboul)と蝿の王(Lord of the Flies)と鬼の頭(prince of devils)と七大罪の 暴食(Gula Gluttony) の大公 — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は紀元前六から四世紀頃の列王記下(2 Kings)第一章二から十六節のイスラエルの王アハジヤ(Ahaziah)が病となりてエクロンのベエルゼブブに神託を求めしがエリヤ(Elijah)の咎を受けし結定的始原正典と西暦一世紀のマタイによる福音書(Matthew)第十二章二十四から二十七節とルカによる福音書(Luke)第十一章十五から十九節とマルコによる福音書(Mark)第三章二十二節のファリサイ人等がキリストを誹り 鬼の頭ベエルゼブブの力にて鬼を逐ふ と云ひし結定的正典である。千六百六十七年のジョン・ミルトン(John Milton)の失楽園(Paradise Lost)第一巻七十八から八十一行のルシファーに次ぐ堕天使の結定的十七世紀英文正典と千九百五十四年のウィリアム・ゴールディング(William Golding)の小説蝿の王(Lord of the Flies)の結定的二十世紀英文正典である。

paimon

パイモン

Paimon· ソロモンの72魔神第9位 芸術と学問の王

パイモン(羅典語Paimon 英語Paimon)は十七世紀の魔術書 — 結定的正典 — ソロモンの小さき鍵(Lemegeton Clavicula Salomonis)第一部 — アルス・ゴエティア(Ars Goetia) — の七十二の鬼神の中の第九位の強き王にて二百の軍団(legions)の悪魔を率ゐる結定的正典図像である。別名 — パイマ(Paimaim)とパイモン王(King Paimon)と駱駝の王と芸と学の王 — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は千五百六十三年のヨハン・ヴァイヤー(Johann Weyer)の偽書の悪魔の君主(Pseudomonarchia Daemonum)のパイモンの結定的始原正典と十七世紀のレメゲトン・ソロモンの小さき鍵(Lemegeton Clavicula Salomonis)第一部アルス・ゴエティアの七十二の鬼神の中の第九位の王の結定的正典である。千八百一年英国のフランシス・バレット(Francis Barrett)のマグス(The Magus)のパイモンの結定的魔術書正典と千八百六十三年仏蘭西のコラン・ド・プランシー(Collin de Plancy)の地獄辞典(Dictionnaire Infernal)の駱駝の上の冠を戴く男の姿のパイモンの図像が結定的美術正典にて 二千十八年六月八日米国公開の映画ヘレディタリー(Hereditary アリ・アスター(Ari Aster)監督 A24)のパイモンの ハイル・パイモン(Hail Paimon) の結定的二十一世紀映画正典である。

astaroth

アスタロト

Astaroth · ソロモンの72魔神第29位 — 大公爵

アスタロト(羅典語Astaroth 英語Astaroth)は十七世紀の魔術書 — 結定的正典 — ソロモンの小さき鍵(Lemegeton Clavicula Salomonis)第一部アルス・ゴエティア(Ars Goetia)の七十二の鬼神の中の第二十九位の大公爵(Great Duke)の悪魔にして四十の軍団(legions)の悪魔を率ゐる結定的正典図像である。語源学的起源は紀元前二千年頃のメソポタミアの豊と愛と戦の女神イシュタル(Ishtar アッカド語) → フェニキアとカナアンのアスタルテ(Astarte) → 旧約の異邦女神アシュトレト(Ashtoreth) → 十六から十七世紀の魔術書の男の公爵悪魔の結定的正典語彙である。別名 — アシュトレト(Ashtoreth)とアスタルテ(Astarte)とイシュタル(Ishtar)と人文の学の公爵 — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は千五百六十三年のヨハン・ヴァイヤー(Johann Weyer)の偽書の悪魔の君主(Pseudomonarchia Daemonum)のアスタロトの結定的始原正典と十七世紀のレメゲトン・ソロモンの小さき鍵(Lemegeton Clavicula Salomonis)第一部アルス・ゴエティアの七十二の鬼神の中の第二十九位の大公爵の結定的正典である。千八百十八年のコラン・ド・プランシー(Collin de Plancy)の地獄辞典(Dictionnaire Infernal)の邪なる龍の上のアスタロトの図像が結定的十九世紀美術正典にて 千九百九十五年より日本のナムコ(Namco)のテレビゲーム ソウルキャリバー(Soul Edge/Soulcalibur)シリーズのアスタロトが結定的二十一世紀グローバルゲーム正典である。

sandalphon

サンダルフォン

Sandalphon · 祈りの天使 — 人の祈りを神に届ける者

サンダルフォン(希伯來語Sandalphon 希臘語Sandalphōn)は猶太教カバラ伝統 — 結定的正典 — のメタトロンと対を為す最高位の天使にて — 人の祈を受けて花冠に編みて神に捧ぐる 祈の天使(angel of prayer) の結定的正典図像である。語源は希臘語のsynadelphos — 共に兄弟(co-brother) — より派生せし結定的正典語彙にてメタトロンの双子の兄弟の意なる結定的正典である。別名はサナダルフォン(Sanadalphon)とマルクトの天使(angel of Malkuth)と祈の天使と歌の天使(angel of music)と生命の樹の足(foot of the Tree of Life)が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は四から六世紀のバビロン・タルムード・ハギガ十三乙のサンダルフォンが他の天使等より五百年の身長分高く立つ結定的始原正典と西暦五から六世紀頃の三エノク書(3 Enoch Sefer Hekhalot)のサンダルフォンの結定的正典である。千二百八十年代モーセ・デ・レオン(Moses de Leon)の光輝の書(Zohar)のカバラの生命の樹(Sephirot)のマルクト(Malkuth 王国)の天使の結定的正典にて 千八百五十一年のドイツのハインリヒ・ハイネ(Heinrich Heine)の詩サンダルフォンと千八百五十八年の米国のヘンリー・ワズワース・ロングフェロー(Henry Wadsworth Longfellow)の詩サンダルフォン(Sandalphon)の結定的十九世紀英文と独文正典である。

ra

ラー

Ra· エジプト太陽神 万物の創造主にして王

ラー(埃及語Ra又はRe 太陽)は古代埃及神話 ヘリオポリス(Heliopolis 埃及語Iunu 柱の都) 神学 の結定的正典の太陽神と創造主と神々の王 にて 原初の混沌の海ヌン(Nun)より自ら涌き出でて シュー(Shu)とテフヌト(Tefnut)を生み ゲブ(Geb)とヌト(Nut) とオシリス(Osiris)とイシス(Isis)とセト(Seth)とネフテュス(Nephthys) のヘリオポリス九柱神(Ennead)の祖 の結定的正典図像である。語源は 埃及語Ra(太陽) の結定的正典語彙にて 新王国 第十八王朝(紀元前千五百五十年から千二百九十二年) 期 テーベ のアメン(Amun)神と合せられてアメン・ラー(Amun-Ra) の最高神として君臨せし結定的正典である。最も決定的なる文献正典は紀元前二千四百年から二千三百年頃 古王国第五から六王朝 のピラミッド・テキスト(Pyramid Texts) ウナス(Unas 紀元前二千三百七十五年から二千三百四十五年)とペピ一世(Pepi I) のピラミッド内部の結定的正典 と紀元前二千百年から千七百年頃中王国の棺槨文(Coffin Texts)と紀元前千五百五十年頃新王国の死者の書(Book of the Dead)と冥界の書(Amduat)が結定的正典である。ファラオの ラーの子(sa-Ra) の称号と鷹の頭に太陽の円盤とウラエウス(Uraeus)コブラの結定的正典図像である。

abaddon

アバドン

Abaddon· 滅びの天使 底なき淵の王

アバドン(希伯來語Avaddon 希臘語Apollyōn 羅典語Abaddon)は猶太と基督教伝統 — 結定的正典 — の滅と破壊の天使にて — 語源 — 希伯來語のアバド(avad) — 滅ぶと破壊す(to perish destroy) — より派生せし — 滅(destruction) — の結定的正典語彙にて希臘語のアポリオン(Apollyōn) — 破壊者(destroyer) — の結定的正典図像である。別名 — アポリオン(Apollyon)とアバドンと無底坑(アビス Abyss)の王と蝗の群の王 — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は紀元前六から四世紀頃のヨブ記(Job)第二十六章六節と第二十八章二十二節と第三十一章十二節の アバドン が墓と滅の所として擬人化されし結定的始原正典と箴言(Proverbs)第十五章十一節と第二十七章二十節と詩篇(Psalm)第八十八篇十一節の結定的正典である。最も決定的なる新約正典は西暦一世紀のヨハネの黙示録(Revelation)第九章十一節の 無底坑の使者(angel of the bottomless pit) ありて其の名は希伯來語にてアバドンなり希臘語にてアポリオンなり の結定的正典である。千六百七十八年のジョン・バニヤン(John Bunyan)の天路歴程(The Pilgrim's Progress)のクリスチャンとの格闘にてのアポリオンの結定的十七世紀英文正典である。

osiris

オシリス

Osiris · エジプト冥府の王 — 復活と豊穣の神

オシリス(埃及語Asar 又はUsir 希臘語Osiris 強き者の座 又は 王座)は古代埃及神話 — 結定的正典 — の冥界と復活と豊穣と穀の神にて — ヘリオポリス九柱神(Ennead) — のゲブ(Geb 大地)とヌト(Nut 天空)の子にしてイシス(Isis)の夫 — として弟セト(Seth)に殺されて切られし屍をイシスが集めて復活せしめし後冥界ドゥアト(Duat)の王となりて死者の霊を裁きし結定的正典図像である。最も決定的なる文献正典は紀元前二千四百年から二千三百年頃 — 古王国第五王朝 — のウナス(Unas 在位紀元前二千三百七十五年から二千三百四十五年)のサッカラのピラミッド内のピラミッド・テキスト(Pyramid Texts)約七百五十九呪文の中の約二百呪文がオシリスの結定的始原正典 — と紀元前二千百年から千七百年頃中王国の棺槨文(Coffin Texts)と紀元前千五百五十年頃新王国の死者の書(Book of the Dead)殊に第百二十五章 否認の告白(Negative Confession) のオシリスの四十二の裁判官の結定的正典である。西暦一世紀頃 — 約西暦百年頃 — 希臘のプルタルコス(Plutarchos 四十六年から百十九年頃)の イシスとオシリスに関して(De Iside et Osiride) が最も完成せし結定的希臘羅典神話正典である。

horus

ホルス

Horus· エジプト天空・王権の神 鷹の眼を持つ正義の回復者

ホルス(埃及語Ḥr Hor 希臘語Hōros)は古代埃及神話 — 結定的正典 — の天と王権と正義の神にて — オシリス(Osiris)とイシス(Isis)の子として叔父セト(Seth)との八十年の王位の争ひの末に埃及の正当の王となれる結定的正典図像である。語源 — 埃及語Ḥrは 高き者と遠き者 の結定的正典語彙にて 別名 — ヘル(Heru)とホル(Hor)とホル・サ・イセト(Hor-sa-Iset イシスの子ホルス)とホル・ウル(Hor-wer 大ホルス)とホル・アクティ(Hor-akhti 二の地平のホルス)とハルポクラテス(Harpokrates 幼子ホルス) — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は紀元前二千四百から二千三百年頃古王国第五王朝のウナス(Unas)のピラミッド・テキスト(Pyramid Texts)のホルスとセトの神話結定的始原正典と紀元前千二百五十年頃新王国第二十王朝ラメセス五世期のチェスター・ビーティー・パピルス一(Chester Beatty Papyrus I)のホルスとセトの争(Contendings of Horus and Seth)の八十年の争結定的正典である。西暦一世紀頃 — 約西暦百年頃 — 希臘のプルタルコス(Plutarchos)のイシスとオシリスに関して(De Iside et Osiride)第十二から二十章と第五十四から五十八章の結定的希臘羅典正典である。

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アヌビス

アヌビス· エジプトの冥界神 死とミイラ作りの守護者

アヌビス(古埃及語Anpu 希臘語Ἄνουβις Anubis)は古代埃及神話 — 結定的正典 — の死者の霊を導きてミイラ化(防腐)の儀を司る冥府の神にて — 山犬の頭と人の体 — の結定的正典図像にて — 黒の肌又は毛 — の結定的正典である。別名 — アンプ(Anpu)とイミ・ウト(Imy-ut '繃帯の者')とケンティ・アメンティウ(Khenty-amentiu '西方の長')とウェプワウェト(Wepwawet) — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は紀元前二千四百から二千三百年頃の埃及第五王朝のサッカラのファラオのウナス(Unas)のピラミッド・テキスト(Pyramid Texts)のアヌビスの結定的始原正典と紀元前千五百五十年頃の埃及新王国の死者の書(Book of the Dead Book of Coming Forth by Day)の百二十五号呪文の結定的正典である。最も決定的なる神話正典は 心臓の重さの測り(Weighing of the Heart) の結定的正典にて死者の霊を死後の二真理の殿(Hall of Two Truths)に連れ来て其の心臓をマアト(Ma'at 正義の女神)の羽根と天秤に量らるる結定的正典にて心臓が羽根より軽ければ永の平和の葦の野(Aaru)に行きて重ければ怪物アムト(Ammut 獅・河馬・鰐の頭)に喰はれて永に滅ぶる結定的正典である。

⚔️防具(24)
⚔️武器(27)
golem
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ゴーレム

ゴーレム · 人工生命体 — 無生物から作られた存在

ユダヤ神秘主義カバラ伝統に由来する人工生命体で、粘土、石、金属など無生物の材料に神聖な文字や呪文を与えて動かす存在である。ヘブライ語の『golem』(גולם)は『未だ形をなさぬ塊』を意味し、最古の用例は詩篇一三九篇一六節にある。最古の直接的技術的記述はカバラ入門書『セフェル・イェツィラー』(Sefer Yetzirah、約二〇〇から五〇〇年)であり、一二世紀ドイツの敬虔派ハシデイ・アシュケナズに属するヴォルムスのエレアザル(Eleazar of Worms、約一一七六から一二三八年)が『Hilkhot Yetzirah』で具体的な創造儀礼を記録した。最も有名な伝承は一六世紀後半プラハのラビ、イェフダ・レーヴ・ベン・ベツァレル(マハラル、一五二五から一六〇九年)が迫害を受ける共同体を守るために粘土から作ったとされる『プラハのゴーレム』で、額に『emet』(真実、ヘブライ語のアレフ・メム・タヴ)が刻まれれば動き、その最初の文字を消して『met』(死)とすれば土に還ると伝えられる。メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(一八一八年)、グスタフ・マイリンク『ゴーレム』(Kurt Wolff Verlag、一九一五年)、カレル・チャペク『R.U.R.』(Aventinum、一九二一年、『ロボット』の語源)、ダンジョンズ&ドラゴンズの四種ゴーレム(TSR、一九七七年)などすべて同じ原型の直接的後裔である。

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ユニコーン

ユニコーン · 一角獣 — 神聖な力を持つ伝説の馬

ユニコーン(Unicorn 拉典 unicornis uni 一 と cornu 角 の合成)は中世欧州の伝説的一角獣で、額中央に一本の螺旋角を有する白馬の姿に固定され、純粋・純潔・神聖の象徴である。語源的根源は紀元前五世紀クテシアスのモノケロスに遡るが、本格的ユニコーン像は希臘語七十人訳聖書が希伯来語 re'em(現代学界は野牛オーロックスと同定)を monokeros と訳し、四世紀後半聖ヒエロニムスの羅典武加大訳がこれを unicornis と再訳した時点で確立された。二から四世紀の希臘獣物寓喩集ピシオロゴスがいかなる狩人も力でユニコーンを捕え得ず 唯独り森に坐す乙女のみが獣を引き寄せて膝に頭を伏せて眠らせるという乙女ユニコーン主題を定着させ、これは聖母マリアの胎に降りるキリストの寓意として神学化された。一四九五から一五〇五年和蘭製ユニコーン狩タペストリー七点(現ニューヨーク メトロポリタン美術館分館ザ クロイスターズ蔵)と一五〇〇年頃クリュニ博物館蔵貴婦人と一角獣タペストリー六点が図像の頂点である。英国王室紋章のスコットランド側獣であり、二十一世紀英語では時価総額十億ドル以上のスタートアップの代名詞ともなった。

mummy

マミー

Mummy · 包帯の死者 — 墓を守る呪われた死体

ミイラ(英語 mummy ペルシャ語 mūmiya 瀝青に由来)は防腐処理されて亜麻布の包帯に巻かれ墓より蘇りて生者に復讐と呪いを下す不死者である。図像学的原型は古代エジプトのミイラ製作と死後復活信仰にて 紀元前三千年頃古王国時代より新王国時代(紀元前千五百五十年から千二百九十五年頃)を経て精緻化された七十日間の防腐儀礼が定着した — 鼻孔より鉤にて脳を摘出 脇腹切開にて内臓を摘出してホルスの四息子(イムセティ ハピ ドゥアムウテフ ケベセンウエフ)のカノプス壺に分離保管 ナトロン(天然炭酸水素ナトリウム)にて四十日間乾燥 亜麻布包帯を数十重に巻きつつ死者の書護符を挿入 アヌビス神面を被る祭司による開口儀礼。ヘロドトスが歴史巻二(紀元前四百四十年頃)にミイラ製作過程を最詳記録した。一九二二年十一月英国考古学者ハワード・カーターによる王家の谷ツタンカーメン(紀元前千三百四十一年から千三百二十三年頃)墓(KV62)発掘と一九二三年四月後援者カーナーヴォン卿の死去がファラオの呪い伝説を世界化し 一九三二年カール・フロイント監督のユニバーサル映画ミイラ再生(ボリス・カーロフ演ずるイムホテプ)が蘇りて復讐するミイラ図像の映画正典を確立した。

vampire

ヴァンパイア

Vampire · 吸血鬼 — 生者の血で不死を生きる夜の貴族

ヴァンパイア(英語Vampire スラヴ語Upir/Vampir)は死せども死を成さずして生者の血を吸ひて不死を維持する不死者にて 蒼白なる肌と牙と魅惑なるカリスマを持ち蝙蝠と霧と狼に変身する東欧スラヴ民譚に発して十九世紀英文学にて完成されたる決定的正典図像である。語源はスラヴ語のウピル(upir 東スラヴ)とヴァピル(vapir 南スラヴ)に由来し 英語vampireの初使用は千七百三十四年の英国旅行雑誌ロンドン・ジャーナルである。図像学的起源はスラヴ民譚の蘇りたる屍体伝承と十八世紀東欧吸血鬼パニック(Vampire Panic 千七百二十五年から千七百五十五年ハプスブルク帝国セルビアとハンガリー)にて 最も決定的なる事例は千七百二十五年セルビアのペテル・ブラゴエヴィッチ(Petar Blagojević)と千七百二十六年から千七百三十二年セルビアのアルノルト・パオレ(Arnold Paole)事件にて 墺太利ハプスブルク軍医ヨハン・フリュッキンガー(Johann Flückinger)の千七百三十二年報告書視察報告(Visum et Repertum)が吸血鬼を欧州学術界の公式正典に登録せしめたる決定的文献である。千八百十九年四月一日英国雑誌ニュー・マンスリー・マガジンに発表されたるジョン・ウィリアム・ポリドリ(John William Polidori 千七百九十五年から千八百二十一年)の短編ヴァンパイア(The Vampyre) — 千八百十六年瑞西のディオダティ別荘にてバイロン卿の提案にメアリー・シェリー(フランケンシュタイン)と共に書きたる — が英文学ヴァンパイア正典の始まりにて 千八百九十七年五月二十六日英国出版のブラム・ストーカー(Bram Stoker 千八百四十七年から千九百十二年)のドラキュラ(Dracula)が優雅にして貴族的なる現代ヴァンパイア図像の決定的正典を完成せしめた。

dullahan

デュラハン

Dullahan · 首なし騎手 — 死を連れ去るアイルランドの使者

デュラハン(アイルランド語Dullahan 英語Dullahan)は自らの斬られたる頭を片手に持ちて黒馬を駆る首無き騎手にて アイルランド・ケルト伝承の死を取り立つる精霊にして運命の執行者図像の決定的正典である。語源はアイルランド語dulachánあるいはdubhlachanに由来して — 両者共に 闇の使者(messenger of darkness) あるいは 首無き者(headless one) と解さるる — ケルト前基督教時代アイルランド人身御供信仰の名残である。決定的なる学説は千八百二十五年トマス・クロフトン・クロカー(Thomas Crofton Croker)のアイルランド南部妖精伝説(Fairy Legends and Traditions of the South of Ireland) — 斬られたる頭より光を放つ首無き騎手の決定的視覚正典を確立 — と千八百八十七年ワイルド夫人(Lady Wilde オスカー・ワイルドの母 千八百二十一年から千八百九十六年)のアイルランド古代伝説・神秘呪符・迷信(Ancient Legends, Mystic Charms, and Superstitions of Ireland) — デュラハンの行動様式(名を呼べばその者死す・人骨鞭・道の門が独りでに開く・黄金を恐る)正典 — である。千八百二十年十一月米国ワシントン・アーヴィング(Washington Irving)の短編スリーピー・ホロウの伝説(The Legend of Sleepy Hollow) — ヘシアン(Hessian)傭兵出身の首無き騎手がニューヨーク・ハドソン渓谷に出没する筋 — がデュラハン図像を西欧英文学に決定的に定着させ 千九百九十九年ティム・バートン(Tim Burton)監督の映画スリーピー・ホロウ(ジョニー・デップとクリストファー・ウォーケン主演)が現代映画正典を完成させた。

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スケルトン戦士

Skeleton Warrior · 骸骨兵士 — 死より蘇った不死の戦士

スケルトン戦士(英語Skeleton Warrior 羅典語Sceletus Bellator)は死せる者の骨にて成る戦士型不死者にて 魔法と呪と黒魔術にて召喚あるいは復活させられて肉と魂無くして純粋なる骨格のみにて剣と槍と楯と鎧を持ちて戦ふ現代西洋幻想の決定的正典不死者図像である。語源は希臘語スケレトン(σκελετόν 乾きたる屍)に由来し羅典語sceletonを経て十六世紀英語に定着した — 本来の人格や意志無くして死霊術師(ネクロマンサー Necromancer)の命令にのみ忠実に従ふ道具的存在として描かれる。神話的原型は古代希臘神話カドモス(Κάδμος Cadmus)のスパルトイ(Σπαρτοί 撒かれたる者) — カドモスがアテナ女神の指示にて殺せし龍(δράκων drakon)の歯を撒けば地より武装したる戦士が生え出でし — 正典である。最も決定的なる現代正典は千九百六十三年七月十九日英国公開ドン・チャフィー(Don Chaffey 千九百十七年から千九百九十年)監督の映画ジェイソンとアルゴナウタイ(Jason and the Argonauts)の名場面 — 英国映画特殊効果の巨匠レイ・ハリーハウゼン(Ray Harryhausen 千九百二十年から二千十三年)のストップモーション・アニメーション(Stop-motion Animation)にて描かれたる七体の骸骨戦士が希臘英雄イアソンと剣術の決闘を繰り広ぐる四分三十秒の場面 — が現代スケルトン戦士図像の決定的正典である。其の後千九百七十四年ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax 千九百三十八年から二千八年)の卓上RPGダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)のスケルトン(Skeleton)モンスターにて — 千九百七十七年モンスター・マニュアル(Monster Manual) — 現代幻想RPG正典が確立された。

ghost

幽霊

Ghost · さまよう亡霊 — 未練と事情に縛られ現世に残った魂

幽霊(英語Ghost 羅典語Spectrum)は死せる者の魂が未練と怨と解かれぬ事情の故に黄泉に行けずして此岸に留まる者にて 透明あるいは半透明なる形にて特定の場所(廃屋と古き家)に縛られて ポルターガイスト(獨逸語Poltergeist 騒々しき霊)と冷たき気配と幻影と音にて存在を顕はす全世界普遍なる死後信仰の決定的正典図像である。語源は漢字幽(暗き 幽かなる)と霊の合成にて 暗き場所の霊 を意味し 英語ghostは古英語gāst(魂と精神)に由来する。図像学的起源はメソポタミアのギディム(gidim)・古代エジプトのアク(akh)・古代希臘のプシュケー(psyche)とエイドロン(eidolon)等 — 全世界の凡ての文明の死後魂信仰より普遍的に発したる。最も決定的なる西洋文献正典は西暦一世紀末羅馬の作家小プリニウス(Pliny the Younger 六十一年から百十三年)の書簡集(Epistulae)七巻二十七章 — 希臘哲学者アテノドロス(Athenodorus 紀元前七十四年から紀元七年)が雅典の廃屋にて鎖を引きずる老人の幽霊に遭ひ其の埋葬地を発掘して解寃せしめたる — 西洋初の廃屋幽霊譚が決定的正典である。千五百九十九年から千六百一年ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare 千五百六十四年から千六百十六年)の悲劇ハムレット(Hamlet)のハムレット父の幽霊が英文学幽霊正典を確立し 千八百四十三年十二月十九日英国出版のチャールズ・ディケンズ(Charles Dickens 千八百十二年から千八百七十年)の中編小説クリスマス・キャロル(A Christmas Carol)のマーリーと過去と現在と未来の幽霊三つがヴィクトリア朝幽霊正典の決定的作品である。

revenant

レヴナント

Revenant · 復讐の帰還者 — 一つの目的のため墓から戻った死体

レヴェナント(英語Revenant 羅典語revenans 帰り来る者)は強き復讐心あるいは未だ解けぬ使命の為に自ら墓より起ち上がりたる屍体にて 明瞭なる自我と唯一の目的を持つ中世欧州の自覚的不死者図像である。語源羅典語revenansは動詞revenire(帰り来る)の現在分詞形にて 十一から十二世紀の羅典語年代記にて墓より蘇りて村を悩ます屍体を指す正典的用語となった。最も決定的なる文献は十二世紀英国年代記作家ウィリアム・オブ・ニューバラ(William of Newburgh 千百三十六年頃から千百九十八年頃)の英国史(Historia Rerum Anglicarum)第五巻二十二から二十四章 — バッキンガム(Buckingham) バーウィック(Berwick) アナント(Anant)等英国北部の村のレヴェナント事例を詳細に記録 — が中世欧州レヴェナント図像の決定的正典である。同時代ウェールズ出身の聖職者ウォルター・マップ(Walter Map 千百四十年頃から千二百十年頃)の宮廷人の些事(De Nugis Curialium)と 十三から十四世紀のアイスランド・サガ・グレティルのサガ(Grettis Saga)に登場するグラム(Glám)が北欧レヴェナント正典である。千九百七十七年ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax)のダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)モンスター・マニュアルにてレヴェナントが単一の復讐対象に執着する自覚的不死者として遊戯化され 二千十五年アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro González Iñárritu)監督の映画レヴェナント・蘇りし者(レオナルド・ディカプリオ主演 アカデミー監督賞受賞)が二十一世紀レヴェナント図像を映画正典に位置付けた。

barrow-wight

ワイト

Wight · 古墳の死者 — 墓の宝を守る呪われた死体

ワイト(英語Wight 古墳ワイトはBarrow-wight)は古墳や塚に埋葬されたる屍が宝への執着と呪いに因りて起ち上がりたる墓地不死者にて 無形の幽鬼(レイス)と異なり屍の形を保つ自覚型不死者の正典図像である。語源は古英語wiht(生物 存在)に由来し — 八世紀古英語叙事詩ベオウルフ(Beowulf)等に登場する一般的 存在 の意味が — 後代に墓地不死者の特定の意味として定着した。図像学的起源は十三から十四世紀のアイスランド家族サガのドラウグル(draugr 歩く屍)とハウグブイ(haugbúi 古墳居住者)にて 最も決定的英文学正典は千九百五十四年七月J.R.R.トールキン(J.R.R. Tolkien 千八百九十二年から千九百七十三年)の指輪物語・旅の仲間(The Fellowship of the Ring)第一部八章 古墳丘の霧(Fog on the Barrow-Downs)にて — フロドとホビット達が古い森の東の古墳丘にて古墳ワイトに捕らわれて副葬品と共に埋葬される危機に陥るも トム・ボンバディルの歌にて救出される筋 — が現代幻想ワイト図像の決定的正典を確立した。千九百七十七年一月ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax)のAD&Dモンスター・マニュアル(Monster Manual)にワイトが加えられて — 自らに殺された者を同族ワイトとなす生気吸収能力 — が現代RPG正典となった。

gremlin

グレムリン

Gremlin · 機械を壊す妖怪 — 現代技術時代のいたずら者

グレムリン(英語Gremlin)は機械と装置を密かに故障せしむる小さくて狡猾なる二十世紀現代の妖怪にて 産業技術文明が生みたる最も新しき形態の妖怪正典図像である。語源は明確ならざるも — 千九百二十年代英国空軍(RAF)の航空機操縦士と整備兵の間の軍隊俚語に由来し 千九百二十九年四月英国航空雑誌エアロプレイン(The Aeroplane)に初めて活字化されたる — 千九百三十年から四十年代の両次世界大戦時期RAFにて原因不明の航空機故障を起こす不可視の存在として語られて定着した。最も決定的なる文献は千九百四十三年四月ノルウェー出身の英国空軍操縦士ロアルド・ダール(Roald Dahl 千九百十六年から千九百九十年)が出版したる初の童話グレムリン(The Gremlins) — ウォルト・ディズニーが直接挿絵を担当しディズニーが製作したる史上初の絵本 — がグレムリン図像の大衆的正典を確立した。千九百六十三年十月十一日CBS環状特急(The Twilight Zone)シーズン五エピソード二万フィート上空の悪夢(Nightmare at 20,000 Feet)にウィリアム・シャトナー(William Shatner)主演にて飛行機翼上のグレムリンが登場した事件が米国TV正典を確立し 千九百八十四年六月八日公開ジョー・ダンテ(Joe Dante)監督の映画グレムリン(Gremlins クリス・コロンバス脚本 スティーヴン・スピルバーグ製作)が二十一世紀グレムリン図像の決定的大衆正典を完成させた。

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