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scutum
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スクトゥム

ローマ軍団の大型曲面盾

スクトゥムはローマの軍団兵の象徴的な大型の湾曲した盾で、高さ約百から百二十センチ、幅約六十センチに及ぶ半円筒の曲面が体全体を包むように守るのが最大の特徴である。薄い木の板を幾重にも木目を交えて貼り合わせた合板を土台に、その上を革と布で包み、縁を補強して、中央に鉄の突起(ウンボ)を付けて仕上げた。ウンボは横の握りを持つ手を守ると同時に、敵を突き当てて打つ攻めの突起としても用いられた。シリアのドゥラ・エウロポスでほぼ完全な形で出土した現存の品が、まさにこの合板と革の造りを裏づける。スクトゥムの真の力は、兵が盾を前と上に密着させて矢や飛び道具を防ぐ動く盾の壁、亀甲の陣(テストゥド)で発揮された。短い刺突の剣グラディウスとの組み合わせ——盾で防ぎつつ隙から突き入れる戦い方——は、数百年にわたり地中海を支配したローマの軍事力の根幹であった。

起源

スクトゥムは共和政期のローマで、イタリア半島の既存の盾を改めて発展させたものと見られる。共和政期のスクトゥムは細長い楕円の曲面の盾であったが、帝政の初めに至って、我々がよく思い浮かべる長方形の湾曲した盾へと整えられ、一世紀ごろから約三世紀まで軍団兵の標準の装備として用いられた。のち三世紀ごろ、軍の編成と戦術が変わると、より軽く扱いやすい楕円・円形の盾へと再び戻った。合板を曲面に成形して体を包むこの造りは、密集隊形で戦うローマ歩兵の戦術にぴたりと合うよう練られた結果であった。

特徴

  • 高さ約百から百二十センチ、幅約六十センチの大型湾曲盾
  • 合板と革の造りに中央の鉄の突起(ウンボ)を装着
  • 半円筒の曲面が体全体を包む保護の構造
  • 亀甲の陣(テストゥド)で動く盾の壁を形成
  • グラディウスとの組み合わせがローマ軍団戦術の核
  • 重さ約七から十キロの堅固な防具

物語

スクトゥムはローマの軍団兵の標準の戦闘装備で、密集隊形の戦いでその真価を発揮した。兵は盾の後ろの横の握りを片手で持ち、曲面で体を隠したまま、もう片方の手のグラディウスで盾の隙から敵を突いた。幾人もが盾を前と上に重ねて密着すれば、矢や石を防ぐ亀甲の陣となり、とりわけ攻城戦で城壁へ近づく時に力を振るった。中央のウンボで敵を突き当てて隊形を崩し、その瞬間にグラディウスでとどめを刺すなど、攻めにも併せ用いた。

弱点

スクトゥムの弱点は重さと大きさから来る。約七から十キロに及ぶ重さと大きな嵩は密集隊形では頼もしかったが、長い行軍では相当の体力を奪った。また大きく重いため、一人で自由に動く個人の機動戦や、散った敵を追う追撃戦には嵩張って適さなかった。隊形が乱れて脇や後ろが露わになれば、正面だけを守る曲面の利点が消えて脆くなった。合板と革の本体は度重なる打撃や火に傷み得たため、あくまで隊形を成して共に戦う時に最も強い盾であった。

文化的・歴史的意義

スクトゥムはローマの軍団と、その規律ある集団の戦術を象徴する盾である。個々の武勇より隊形の団結を先んじたローマ軍の思想が、体を曲面で包み隣の兵と重なるこの盾の造りにそのまま込められている。盾を重ねて亀の甲のようにする亀甲の陣は、今日までローマ軍といえば思い浮かぶ代表的な姿となり、グラディウスと対を成すスクトゥムは「防ぎつつ突く」ローマ式の戦いの象徴として残った。面には軍団の徽章——しばしば雷と翼の文様——を描いて所属を示した。

ポップカルチャーでの登場

スクトゥムは古代ローマを扱う映画・ドラマ・ゲームに、軍団兵の象徴的な装備としてほぼ欠かさず登場する。長方形の赤い盾を持つ軍団兵が並んで亀甲の陣を成す場面は、ローマ軍を一目で思わせる代表的な演出である。ゲームでは盾の壁を立て、あるいは突撃する重装歩兵の装備としてよく用いられる。ただし創作では共和政期の楕円のスクトゥムと帝政期の長方形のスクトゥムを時代の別なく混ぜたり、実際には重く個人の乱戦に適さなかった点を無視することが多い。

豆知識

  • シリアのドゥラ・エウロポスでほぼ完全な形で出土したスクトゥムは、合板を幾重にも貼り革で包んだ実際の造りを裏づける貴重な現存の品である。
  • 共和政期のスクトゥムは楕円であり、我々がよく思い浮かべる長方形の湾曲した形は帝政の初めのもので、三世紀ごろ再び楕円・円形の盾へ戻った。
  • 中央のウンボ(突起)は手を守ると同時に敵を突き当てる攻めの道具としても用いられ、盾は防ぐと同時に打つ武器でもあった。