LoreArc

中世

「中世」タグが付いたアイテム 154件

wyvern

ワイバーン

Wyvern · ドラゴンの一種 — 二脚と翼を持つ伝説の生物

ワイバーン(Wyvern)は中世ヨーロッパの紋章学(heraldry)と伝説に登場する二脚・コウモリ翼一対の竜の一種で、語源は古英語『wivere(蝮)』 — ラテン語『vipera(毒蛇)』に由来 — である。西方四脚竜と異なり前脚を持たず翼が腕の役割を果たし、長く棘の多い尾の先に矢じり形の毒針を備える点が決定的な外形特徴である。紋章学的形式はイングランド・ヘンリー二世期(十二世紀末)のアングロ・ノルマン紋章学で確立され、一四八六年のジュリアナ・バーナーズ『セント・オールバンズの書(Boke of Saint Albans)』(大英図書館IB.55712)が四脚竜と区別される独立の紋章獣として分類した最初の英文マニュアルである。ウェールズの赤竜(Y Ddraig Goch)は一四八五年ボズワースの戦い以降テューダー朝の公式紋章となり、十九世紀英国紋章学者がこれを『四脚のワイバーン』として調和させた。同一の輪郭はJ.R.R.トールキン『指輪物語(一九五四-五五)』のフェル・ビースト、フロム・ソフトウェア『ダークソウル(二〇一一)』のワイバーン、カプコン『モンスターハンター(二〇〇四- )』のリオレウス系飛竜、『エルダースクロールズV: スカイリム(二〇一一)』の竜、HBO『ゲーム・オブ・スローンズ(二〇一一-二〇一九)』の竜にまで継承されている。

red-dragon

レッド・ドラゴンはダンジョンズ&ドラゴンズの五色の悪のドラゴン(クロマティック)の頂点であり、西洋ファンタジーで最も象徴的かつ恐るべき存在である。1974年TSR『Dungeons & Dragons』オリジナル箱入りセットの『モンスターと宝物』分冊において、ゲイリー・ガイギャックスとデイヴ・アーネソンが火山・山岳領を支配する火炎吐息ドラゴンの頂点として導入し、1977年AD&D『モンスターマニュアル』以後、整列は混沌にして悪に固定された。2014年第五版『モンスターマニュアル』基準で成体レッド・ドラゴンは体長二十五-三十メートル、挑戦評価十七、六十フィート(約十八メートル)円錐火炎ブレスで十八d六の損傷を与え、古代レッド・ドラゴンは挑戦評価二十四、九十フィート円錐ブレス、二十六d六の圧倒的火力を誇る。現代的図像の正典はJ.R.R.トールキン『ホビット(一九三七)』のスマウグ — 孤山(エレボール)の宝物の上にとぐろを巻く深紅の竜 — であり、AD&Dの色分類はスマウグの図像を直接借用したと評価される。同一の系譜はドラゴンランスの闇の女王タキシス、『マジック:ザ・ギャザリング(一九九三-)』のシヴァン・ドラゴン、バルダーズ・ゲート3(二〇二三)の古代レッド・ドラゴン遭遇にまで継承されている。

⚔️防具(32)
⚔️武器(28)
golem
📸 2

ゴーレム

ゴーレム · 人工生命体 — 無生物から作られた存在

ユダヤ神秘主義カバラ伝統に由来する人工生命体で、粘土、石、金属など無生物の材料に神聖な文字や呪文を与えて動かす存在である。ヘブライ語の『golem』(גולם)は『未だ形をなさぬ塊』を意味し、最古の用例は詩篇一三九篇一六節にある。最古の直接的技術的記述はカバラ入門書『セフェル・イェツィラー』(Sefer Yetzirah、約二〇〇から五〇〇年)であり、一二世紀ドイツの敬虔派ハシデイ・アシュケナズに属するヴォルムスのエレアザル(Eleazar of Worms、約一一七六から一二三八年)が『Hilkhot Yetzirah』で具体的な創造儀礼を記録した。最も有名な伝承は一六世紀後半プラハのラビ、イェフダ・レーヴ・ベン・ベツァレル(マハラル、一五二五から一六〇九年)が迫害を受ける共同体を守るために粘土から作ったとされる『プラハのゴーレム』で、額に『emet』(真実、ヘブライ語のアレフ・メム・タヴ)が刻まれれば動き、その最初の文字を消して『met』(死)とすれば土に還ると伝えられる。メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(一八一八年)、グスタフ・マイリンク『ゴーレム』(Kurt Wolff Verlag、一九一五年)、カレル・チャペク『R.U.R.』(Aventinum、一九二一年、『ロボット』の語源)、ダンジョンズ&ドラゴンズの四種ゴーレム(TSR、一九七七年)などすべて同じ原型の直接的後裔である。

unicorn
📸 2

ユニコーン

ユニコーン · 一角獣 — 神聖な力を持つ伝説の馬

ユニコーン(Unicorn 拉典 unicornis uni 一 と cornu 角 の合成)は中世欧州の伝説的一角獣で、額中央に一本の螺旋角を有する白馬の姿に固定され、純粋・純潔・神聖の象徴である。語源的根源は紀元前五世紀クテシアスのモノケロスに遡るが、本格的ユニコーン像は希臘語七十人訳聖書が希伯来語 re'em(現代学界は野牛オーロックスと同定)を monokeros と訳し、四世紀後半聖ヒエロニムスの羅典武加大訳がこれを unicornis と再訳した時点で確立された。二から四世紀の希臘獣物寓喩集ピシオロゴスがいかなる狩人も力でユニコーンを捕え得ず 唯独り森に坐す乙女のみが獣を引き寄せて膝に頭を伏せて眠らせるという乙女ユニコーン主題を定着させ、これは聖母マリアの胎に降りるキリストの寓意として神学化された。一四九五から一五〇五年和蘭製ユニコーン狩タペストリー七点(現ニューヨーク メトロポリタン美術館分館ザ クロイスターズ蔵)と一五〇〇年頃クリュニ博物館蔵貴婦人と一角獣タペストリー六点が図像の頂点である。英国王室紋章のスコットランド側獣であり、二十一世紀英語では時価総額十億ドル以上のスタートアップの代名詞ともなった。

vampire

ヴァンパイア

Vampire · 吸血鬼 — 生者の血で不死を生きる夜の貴族

ヴァンパイア(英語Vampire スラヴ語Upir/Vampir)は死せども死を成さずして生者の血を吸ひて不死を維持する不死者にて 蒼白なる肌と牙と魅惑なるカリスマを持ち蝙蝠と霧と狼に変身する東欧スラヴ民譚に発して十九世紀英文学にて完成されたる決定的正典図像である。語源はスラヴ語のウピル(upir 東スラヴ)とヴァピル(vapir 南スラヴ)に由来し 英語vampireの初使用は千七百三十四年の英国旅行雑誌ロンドン・ジャーナルである。図像学的起源はスラヴ民譚の蘇りたる屍体伝承と十八世紀東欧吸血鬼パニック(Vampire Panic 千七百二十五年から千七百五十五年ハプスブルク帝国セルビアとハンガリー)にて 最も決定的なる事例は千七百二十五年セルビアのペテル・ブラゴエヴィッチ(Petar Blagojević)と千七百二十六年から千七百三十二年セルビアのアルノルト・パオレ(Arnold Paole)事件にて 墺太利ハプスブルク軍医ヨハン・フリュッキンガー(Johann Flückinger)の千七百三十二年報告書視察報告(Visum et Repertum)が吸血鬼を欧州学術界の公式正典に登録せしめたる決定的文献である。千八百十九年四月一日英国雑誌ニュー・マンスリー・マガジンに発表されたるジョン・ウィリアム・ポリドリ(John William Polidori 千七百九十五年から千八百二十一年)の短編ヴァンパイア(The Vampyre) — 千八百十六年瑞西のディオダティ別荘にてバイロン卿の提案にメアリー・シェリー(フランケンシュタイン)と共に書きたる — が英文学ヴァンパイア正典の始まりにて 千八百九十七年五月二十六日英国出版のブラム・ストーカー(Bram Stoker 千八百四十七年から千九百十二年)のドラキュラ(Dracula)が優雅にして貴族的なる現代ヴァンパイア図像の決定的正典を完成せしめた。

dullahan

デュラハン

Dullahan · 首なし騎手 — 死を連れ去るアイルランドの使者

デュラハン(アイルランド語Dullahan 英語Dullahan)は自らの斬られたる頭を片手に持ちて黒馬を駆る首無き騎手にて アイルランド・ケルト伝承の死を取り立つる精霊にして運命の執行者図像の決定的正典である。語源はアイルランド語dulachánあるいはdubhlachanに由来して — 両者共に 闇の使者(messenger of darkness) あるいは 首無き者(headless one) と解さるる — ケルト前基督教時代アイルランド人身御供信仰の名残である。決定的なる学説は千八百二十五年トマス・クロフトン・クロカー(Thomas Crofton Croker)のアイルランド南部妖精伝説(Fairy Legends and Traditions of the South of Ireland) — 斬られたる頭より光を放つ首無き騎手の決定的視覚正典を確立 — と千八百八十七年ワイルド夫人(Lady Wilde オスカー・ワイルドの母 千八百二十一年から千八百九十六年)のアイルランド古代伝説・神秘呪符・迷信(Ancient Legends, Mystic Charms, and Superstitions of Ireland) — デュラハンの行動様式(名を呼べばその者死す・人骨鞭・道の門が独りでに開く・黄金を恐る)正典 — である。千八百二十年十一月米国ワシントン・アーヴィング(Washington Irving)の短編スリーピー・ホロウの伝説(The Legend of Sleepy Hollow) — ヘシアン(Hessian)傭兵出身の首無き騎手がニューヨーク・ハドソン渓谷に出没する筋 — がデュラハン図像を西欧英文学に決定的に定着させ 千九百九十九年ティム・バートン(Tim Burton)監督の映画スリーピー・ホロウ(ジョニー・デップとクリストファー・ウォーケン主演)が現代映画正典を完成させた。

skeleton-warrior
📸 2

スケルトン戦士

Skeleton Warrior · 骸骨兵士 — 死より蘇った不死の戦士

スケルトン戦士(英語Skeleton Warrior 羅典語Sceletus Bellator)は死せる者の骨にて成る戦士型不死者にて 魔法と呪と黒魔術にて召喚あるいは復活させられて肉と魂無くして純粋なる骨格のみにて剣と槍と楯と鎧を持ちて戦ふ現代西洋幻想の決定的正典不死者図像である。語源は希臘語スケレトン(σκελετόν 乾きたる屍)に由来し羅典語sceletonを経て十六世紀英語に定着した — 本来の人格や意志無くして死霊術師(ネクロマンサー Necromancer)の命令にのみ忠実に従ふ道具的存在として描かれる。神話的原型は古代希臘神話カドモス(Κάδμος Cadmus)のスパルトイ(Σπαρτοί 撒かれたる者) — カドモスがアテナ女神の指示にて殺せし龍(δράκων drakon)の歯を撒けば地より武装したる戦士が生え出でし — 正典である。最も決定的なる現代正典は千九百六十三年七月十九日英国公開ドン・チャフィー(Don Chaffey 千九百十七年から千九百九十年)監督の映画ジェイソンとアルゴナウタイ(Jason and the Argonauts)の名場面 — 英国映画特殊効果の巨匠レイ・ハリーハウゼン(Ray Harryhausen 千九百二十年から二千十三年)のストップモーション・アニメーション(Stop-motion Animation)にて描かれたる七体の骸骨戦士が希臘英雄イアソンと剣術の決闘を繰り広ぐる四分三十秒の場面 — が現代スケルトン戦士図像の決定的正典である。其の後千九百七十四年ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax 千九百三十八年から二千八年)の卓上RPGダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)のスケルトン(Skeleton)モンスターにて — 千九百七十七年モンスター・マニュアル(Monster Manual) — 現代幻想RPG正典が確立された。

revenant

レヴナント

Revenant · 復讐の帰還者 — 一つの目的のため墓から戻った死体

レヴェナント(英語Revenant 羅典語revenans 帰り来る者)は強き復讐心あるいは未だ解けぬ使命の為に自ら墓より起ち上がりたる屍体にて 明瞭なる自我と唯一の目的を持つ中世欧州の自覚的不死者図像である。語源羅典語revenansは動詞revenire(帰り来る)の現在分詞形にて 十一から十二世紀の羅典語年代記にて墓より蘇りて村を悩ます屍体を指す正典的用語となった。最も決定的なる文献は十二世紀英国年代記作家ウィリアム・オブ・ニューバラ(William of Newburgh 千百三十六年頃から千百九十八年頃)の英国史(Historia Rerum Anglicarum)第五巻二十二から二十四章 — バッキンガム(Buckingham) バーウィック(Berwick) アナント(Anant)等英国北部の村のレヴェナント事例を詳細に記録 — が中世欧州レヴェナント図像の決定的正典である。同時代ウェールズ出身の聖職者ウォルター・マップ(Walter Map 千百四十年頃から千二百十年頃)の宮廷人の些事(De Nugis Curialium)と 十三から十四世紀のアイスランド・サガ・グレティルのサガ(Grettis Saga)に登場するグラム(Glám)が北欧レヴェナント正典である。千九百七十七年ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax)のダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)モンスター・マニュアルにてレヴェナントが単一の復讐対象に執着する自覚的不死者として遊戯化され 二千十五年アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro González Iñárritu)監督の映画レヴェナント・蘇りし者(レオナルド・ディカプリオ主演 アカデミー監督賞受賞)が二十一世紀レヴェナント図像を映画正典に位置付けた。

🐉神・魔(1)