クナイ
忍者の多用途道具兼武器
苦無(くない)はもともと日本の石工や庭師が使った多目的の道具で、葉の形をした厚い鉄の刃と、柄尻の環状の柄頭(リング)が特徴である。刃渡り約20〜30cm、重さ200〜400gで、本来は土や壁を掘り、隙間をこじ開け、漆喰を扱う工具だった。これを忍者(忍びの者)が万能の道具兼武器として転用したことで名高くなった——壁や地面に打ち込んで足場とし、環に縄を結んで鉤縄・錨として使い、急場には接近戦の短刀として振るった。大衆文化では手裏剣のように投げる武器として描かれるが、実際には重く空気力学的でないため投げるには不向きだった。専用の武器ではなく「生活道具の軍事転用」を示す代表例である。