LoreArc

ダーク

「ダーク」タグが付いたアイテム 27件

🐉神・魔(6)
satan

サタン

Satan· 大いなる敵対者 怒りの王、人類の告発者

サタン(希伯來語Satan 希臘語Satanas 羅典語Satanas 阿藍語Satana)は猶太と基督教と回教の伝統 — 結定的正典 — の最高の悪魔にて — 語源 — 希伯來語の サタン(satan) の 大敵者(adversary)又は告発者(accuser) の結定的正典語彙である。別名 — ディアボロス(Diabolos 希臘語 誹謗者)と悪魔(devil)とルシファー(Lucifer 光の運び手)とベリアル(Belial)とベルゼブブ(Beelzebub)とイブリース(Iblis 回教のサタン)と古き蛇(old serpent)と大龍と暗の君(prince of darkness) — が結定的正典語彙である。最も決定的なる文献正典は紀元前六から四世紀頃のヨブ記(Job)第一章六から十二節と第二章一から七節 — 天上の法廷にてヨブ(Job)を試す大敵者(satan 定冠詞を用ふ)の結定的始原正典と紀元前六から五世紀頃のゼカリヤ書(Zechariah)第三章一から二節 — ヨシュア(Joshua)を告発するサタン結定的正典である。西暦一世紀のマタイによる福音書(Matthew)第四章一から十一節とルカによる福音書(Luke)第四章一から十三節 — 荒野にてのイエス・キリストの四十日の試結定的正典とヨハネの黙示録(Revelation)第十二章七から九節 — 天上の戦にて大龍たるサタンがミカエル大天使に敗れて落つる結定的正典と第二十章一から三節と十節 — 千年の縛と最後の永の火と硫黄の池の結定的正典である。

fafnir

ファーヴニルは北欧神話に登場する悲劇の竜で、十三世紀後半アイスランドの『ヴェルスング・サガ』および『古エッダ』の「レギンスマール」「ファーヴニスマール」に記録される。両資料は西暦1270年頃のコデクス・レギウス(Codex Regius, GKS 2365 4to)写本に保存され、現在レイキャビクのアウルニ・マグヌッソン研究所が所蔵する。同じ題材は十三世紀初頭の中高ドイツ語叙事詩『ニーベルンゲンの歌』でも、ジークフリートが斃す宝物の竜として再話される。元はドワーフ王フレイズマルの息子であったファーヴニルは、神ロキが過失でカワウソに変身した兄弟オトルを殺した代償として持参した黄金宝物 — ドワーフ・アンドヴァリ(Andvari)の呪いを帯びた指輪アンドヴァラナウト(Andvaranaut)を含む — に取り憑かれ、父を殺し弟レギンを追放し、毒を吐く脚なしの大蛇(wyrm)型の竜に変じて黄金の上にとぐろを巻く。英雄シグルズはレギンが鍛えた剣グラム(Gramr)を携え川岸の道に落とし穴を掘って待ち伏せ、竜の鱗のない腹を下から突いて斃す。竜の血を飲んだシグルズは鳥の言葉を解し、心臓を焼いて食べた後すべての知恵を得る。リヒャルト・ワーグナーの『ニーベルングの指環』(1869-1876)とJ.R.R.トールキンの『ホビット』(1937)のスマウグの直接の原型である。

smaug

スマウグ(Smaug、The Golden / The Magnificent / The Tremendous)はJ.R.R.トールキンの一九三七年の小説『ホビット、または往きて還りし物語(The Hobbit, or There and Back Again)』に登場する黄金欲の火竜であり、現代ファンタジーにおける『宝の山の上に眠る火竜』図像の直接の原型である。深紅の鱗、コウモリの翼、二本の脚(つまり厳密な紋章学分類ではワイバーン)に火炎ブレスを備える邪悪な竜で、第三紀二七七〇年頃に孤山(エレボール)のドワーフ王国デュリンの民を襲撃し、スロール(Thrór)王家を虐殺し、孤山の宝物 — アーケン石(Arkenstone)を含む — を奪い、その上に横たわって眠りについた。約一七〇年後、ホビットのビルボ・バギンズ、ソリン・オーケンシールド率いる一三人のドワーフ遠征隊、そして魔法使いガンダルフが孤山へ向かう冒険の中で、ビルボは『ホビット』第一二章『内部からの情報(Inside Information)』でスマウグと宝の山の中で対面し、その左胸の鱗の抜けた一点を発見する。情報は老ツグミ(thrush)を介して湖の町(エスガロス)の人間の弓手バード(Bard the Bowman)に伝わり、家伝の『黒い矢(Black Arrow)』が正確に命中、スマウグは湖の町に墜ちて死に、その遺骸は湖底に沈む。死後に起こった『五軍の合戦(Battle of the Five Armies)』が『ホビット』の頂点を成す。

vritra

ヴリトラ(サンスクリット語Vṛtra)はヴェーダ・インド神話における最強の悪龍(アスラ)であり、現存する文献における印欧比較神話学のカオスカンプ(嵐神対多頭蛇)モチーフの最古の典籍例である。サンスクリット名はそのまま動詞語根『vṛ』(『覆う、囲む』)に由来し、『包囲する者、せき止める者』を意味する。形態は巨大な脚なし蛇(ahi、『蛇』)、あるいはとぐろを巻く山として描かれる。本来の役割は旱魃の化身であり、インド亜大陸の七大河(サプタ・シンドゥ、Sapta Sindhu)を自身の体で堰き止めて人類に渇きと死をもたらす。九十九の同心要塞(pura)に囲まれた居所に住む。雷神インドラの永遠の宿敵で、ヴェーダ神話最大の戦闘『リグ・ヴェーダ』第一巻三二歌『インドラ・ヴリトラ・ユッダ(Indra-Vṛtra-yuddha)』 — 十五詩節 — に最も詳細に記される。インドラは神々の鍛冶神トヴァシュトリ(Tvaṣṭṛ)から授かったヴァジュラ(vajra、『金剛杵』『雷』)で九十九の要塞を破り、ヴリトラの頭を断ち斬る。ヴリトラの体内に閉じこめられていた七つの大河が流れ出し、インド亜大陸を潤して人類文明が始まったとされる。後代のヒンドゥー教 — 紀元一-四世紀の『マハーバーラタ』ウディヨーガ・パルヴァ、八-十世紀の『バーガヴァタ・プラーナ』 — ではヴリトラはトヴァシュトリの息子ヴィシュヴァルーパ(Viśvarūpa)の弟と再定義され、本来はインドラの友であったが神々の謀略によって殺害された悲劇的人物として描かれる。

wyrm

ワーム(wyrm、古英語wyrm、古ノルド語ormr、古高ドイツ語wurm)は脚も翼もない原始的な蛇形の巨大龍で、ゲルマン・北欧神話における最も古い龍図像であり、後世のクロマティック・ドラゴンや紋章学のワイバーン分類とは別個の形態系統を成す。語源は印欧祖語の語根『*wérmis(虫、蛇)』にまで遡り、ラテン語vermis、サンスクリット語krmiと同根である。古英語叙事詩『ベーオウルフ(Beowulf)』(現存単一写本、大英図書館Cotton MS Vitellius A.xv、約一〇〇〇年頃)の末尾(二二〇〇-三一八二行)で、五十年間山中の洞窟で宝を守り、盗まれた杯に激怒して村を焼く老龍が『wyrm』と記される。最も有名な事例は十三世紀後半アイスランドの散文エッダ『スノッリ・エッダ(Snorra Edda、1220年頃スノッリ・ストゥルルソン編)』のギュルヴィたぶらかし(Gylfaginning)第三十四章と『古エッダ(Sæmundar Edda)』が記録するヨルムンガンドル(Jǫrmungandr、『巨大な杖』『巨大な棒』)、すなわちミッドガルド(Miðgarðr)の海を取り囲む世界蛇で、自身の尾を口に咥えて人間世界全体を巻き、ラグナロク(Ragnarǫk)の最終決戦で雷神トール(Þórr)と運命的な相打ちを迎える。英国の地方伝承では、ダラム州ペンショーのランブトン・ワーム(Lambton Worm、一四世紀十字軍出身の存・ランブトン卿が魔女の助言で処置、一八六七年バラッド出版)、サセックスのリミンスター・ナッカー(Lyminster Knucker、九世紀サクソン領主が処置)、デヴォン州のシャーボーン・ワーム(Sherborne Wyrm)など、地方単位の巨大蛇伝承が豊富である。