LoreArc
death-knight
1 / 1
デスナイト すべて見る

デスナイト

Death Knight · 死の騎士 — 呪われた剣と黒魔術の亡霊戦士

デスナイト(英語Death Knight 死の騎士)は生前の誓いを破りし あるいは呪いに囚われて死後にも起ち上がりたる騎士不死者にて リッチ(Lich)が魔法使い不死者の頂点なれば デスナイトは戦士不死者の頂点なる現代幻想正典図像である。図像学的起源は中世欧州アーサー王伝説の堕落騎士 — トマス・マロリー(Sir Thomas Malory 千四百十五年から千四百七十一年)のアーサー王の死(Le Morte d'Arthur 千四百八十五年)のモードレッド(Mordred) — と十四世紀後半のサー・ガウェインと緑の騎士(Sir Gawain and the Green Knight)の超自然騎士図像なれど 決定的正典化は千九百八十三年ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax)のAD&Dモンスター・マニュアル二(Monster Manual II)にデスナイトが追加されたる事件である。デスナイトの大衆正典人物は千九百八十四年マーガレット・ワイス(Margaret Weis)とトレイシー・ヒックマン(Tracy Hickman)のD&Dドラゴンランス(Dragonlance)小説秋の黄昏の竜たち(Dragons of Autumn Twilight)に登場する ロード・ソス(Lord Soth ソラムニア騎士団出身の堕落デスナイト)にて 千二年ブリザード・エンターテインメントのビデオゲームウォークラフト三・レイン・オブ・カオス(Warcraft III: Reign of Chaos)にて人間王子アーサス・メネシル(Arthas Menethil)がリッチ王ネルジュルのデスナイトに堕落する筋が二十一世紀デスナイト図像の決定的正典を確立した。千八年十一月ワールド・オブ・ウォークラフト・リッチ王の怒り(World of Warcraft: Wrath of the Lich King)拡張パックにてデスナイトがWoW最初のプレイヤブル英雄クラスとして追加されてゲーム正典となった。

起源

図像学的起源は中世欧州アーサー王伝説の堕落騎士動機である。十五世紀英国のトマス・マロリー(千四百十五年から千四百七十一年)が千四百六十九年から千四百七十年に獄中にて執筆し 千四百八十五年ウィリアム・キャクストン(William Caxton)が印刷したアーサー王の死(Le Morte d'Arthur)第二十一巻 死の書 にて — アーサー王の私生児モードレッド(Mordred)が父を裏切りカムラン会戦(Battle of Camlann)にてアーサーに致命傷を負わせて自らも討たれる悲劇 — が堕落騎士図像の英文学正典である。十四世紀後半の作者不明のサー・ガウェインと緑の騎士にて首を斬らるるも生きて動く緑の騎士が超自然騎士図像の正典を確立した。現代デスナイト図像の決定的正典化は千九百八十三年七月ゲイリー・ガイギャックスのAD&Dモンスター・マニュアル二にデスナイト(Death Knight)が追加されたる事件である — 魔法使いデミリッチ・トルハの呪いにて十二人の黒騎士がデスナイトとなりてグレイホーク(Greyhawk)世界観の至る処に散らばりたるとの設定が定着した。千九百八十四年十一月マーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンの秋の黄昏の竜たちにてソラムニア騎士団の最も偉大なる騎士なりしロード・ソスが自らの不貞の愛と約束破りに因りて神の呪いを受けてダグナルド・キープのデスナイトとなりてソラムニアの永遠の悲劇となる筋が大衆正典人物となった。

特徴

  • 漆黒の鎧と冷たき亡霊の意志
  • 優れたる剣術に黒魔術と降霊術を加えたる戦闘力
  • 不死者軍勢を率いる統率力
  • 堕落以前の名誉が残せし悲劇性と自意識
  • 自らを縛れる呪いの鎖に繋がれたる
  • リッチが魔法使い不死者の頂点なればデスナイトは戦士不死者の頂点

物語

千九百八十三年七月ゲイリー・ガイギャックスのAD&Dモンスター・マニュアル二にデスナイトが追加されたる後 — 魔法使いデミリッチ・トルハの呪いにて十二人の黒騎士がデスナイトとなりてグレイホーク世界観に散らばりたるとの設定 — が現代幻想RPG正典となった。千九百八十四年マーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンのドラゴンランス年代記初巻秋の黄昏の竜たちにてソラムニア騎士団の最も偉大なりし騎士ロード・ソスが妻の外にエルフ乙女キットとの不貞の愛とタキシス神殿の約束破りに因りて神の呪いを受けてダグナルド・キープのデスナイトとなりたる筋が — 千九百九十六年キャラクター単独小説ロード・ソス(エド・グリーンウッド著)に拡張されてデスナイト悲劇の決定的人物正典となった。千九百九十一年七月日本スクウェアのビデオゲーム・ファイナル・ファンタジー四のダーク・ナイト・セシル(Cecil Harvey) — 黒魔術と剣術を兼備せし闇の騎士が光の騎士パラディンに覚醒する筋 — が日本RPGダーク・ナイト図像の正典である。千二年七月三日ブリザード・エンターテインメントのビデオゲーム・ウォークラフト三・レイン・オブ・カオスにて人間王子アーサス・メネシルが魔法剣フロストモーン(Frostmourne)を取りてリッチ王ネルジュルのデスナイトに堕落する筋が二十一世紀ゲーム正典にて 千八年十一月十三日発売ワールド・オブ・ウォークラフト・リッチ王の怒り拡張パックにてデスナイトがWoW最初の英雄クラスとして追加されて — 発売初日二十四時間に二百八十万本販売にてビデオゲーム発売興行新記録 — ゲーム正典を完成させた。

弱点

デスナイトの弱点は ① 自らを起こせし呪いの解消 — 千九百八十三年D&D正典にてトルハの呪いが解けるか 千九百八十四年ドラゴンランス正典にて神の赦免が下ればデスナイトが安息 ② 縛れる誓いの解消 — ソラムニア騎士団の誓いを破りしロード・ソスが第五の悲劇の時代に真の悔悟にて安息する筋が正典 ③ 生前の名誉と未練 — 最大の弱点にして救済の糸口にて — 嘗て高潔な騎士なりし自意識が剣を取る度にデスナイトを躊躇わせるとの動機 ④ 神聖なる武器と光の魔術 — 千九百九十一年ファイナル・ファンタジー四のセシルが光のパラディンに覚醒して闇の自らを克服する筋 千八年リッチ王の怒り最終ボス・リッチ王アーサスが光の導者ティリオン・フォードリングの夜明けの光の剣(ライトズ・ホープ・チャペルの光の結晶)にて浄化される筋が正典 ⑤ 魔法武器の破壊 — アーサスの魂剣フロストモーンが壊れし時 其の魂の繋ぎが解けて真の死を迎うる結末が正典的結末である。

文化的・歴史的意義

デスナイトは単なる不死者にあらず 西洋騎士道文学と日本RPGと米国ビデオゲームが融合せし現代幻想の正典的図像である。千四百八十五年トマス・マロリーアーサー王の死にてモードレッドの裏切りとカムラン会戦の悲劇は西洋騎士道文学にて 堕落騎士 の決定的正典を確立し 十三世紀頭韻詩サー・ガウェインと緑の騎士の超自然緑の騎士が死を越えたる騎士図像として定着した。千九百八十三年ゲイリー・ガイギャックスD&D 千九百八十四年ワイスとヒックマンのドラゴンランスが此の中世騎士道悲劇を幻想RPGのデスナイトに凝縮し 千九百九十一年スクウェア・ファイナル・ファンタジー四セシル・ハーベイ 千二年ブリザード・ウォークラフト三アーサス・メネシルが日本RPGと米国ビデオゲームの両頂点にてデスナイト図像を再解釈した。千九百八十九年三浦健太郎の漫画ベルセルク(ベルセルク)の髑髏の騎士(Skull Knight)が日本漫画デスナイト正典である。千八年ワールド・オブ・ウォークラフト・リッチ王の怒りの興行 — 発売初年四百六十万本販売にて売上一億米ドル — がデスナイト図像を二十一世紀グローバルゲーム文化の正典的位置に位置付けた。千十七年米国ゲーム評論誌ゲーム・インフォーマー(Game Informer)はリッチ王の怒りをゲーム史上最も偉大なる五十大拡張パック一位として選定した。

ポップカルチャーでの登場

トマス・マロリー アーサー王の死 モードレッド 千四百八十五年 — 西洋堕落騎士文学正典サー・ガウェインと緑の騎士 十四世紀後半 — 超自然騎士英文学正典ゲイリー・ガイギャックス AD&Dモンスター・マニュアル二 千九百八十三年 — 現代幻想RPGデスナイト正典化マーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマン 秋の黄昏の竜たち ロード・ソス 千九百八十四年 — デスナイト悲劇人物正典三浦健太郎 漫画ベルセルク 髑髏の騎士 千九百八十九年 — 日本漫画デスナイト正典スクウェア ファイナル・ファンタジー四 セシル・ハーベイ 千九百九十一年 — 日本RPGダーク・ナイト正典ブリザード ウォークラフト三・レイン・オブ・カオス アーサス・メネシル 千二年 — 二十一世紀ゲームデスナイト正典ブリザード ワールド・オブ・ウォークラフト・リッチ王の怒り 千八年 — デスナイトプレイヤブル英雄クラス正典ネットイース ディアブロ四 ネクロマンサー 千二十三年 — 降霊術不死者クラス後続作

関連項目

lich

リッチ

Lich · 不死の魔法使い — 魂を封じ死を拒んだ大魔法使い

リッチ(英語Lich)は知識と権能への執着にて自ら不死者となりたる強力なる魔法使いにて 魂を フィラクタリー(phylactery)と呼ぶ器に封じて肉体が破壊されても器が残らば復活する魔法使い不死者の頂点正典図像である。語源は古英語lic(屍 体)に由来し — 八世紀古英語叙事詩ベオウルフ等に登場する一般的 屍 の意味が — 後代英文学にて魔法使い不死者の特定の意味として定着した。図像学的起源は千九百三十二年クラーク・アシュトン・スミス(Clark Ashton Smith)のパルプ・ファンタジー短編 降霊術師の帝国(The Empire of the Necromancers)と千九百三十四年ロバート・E・ハワード(Robert E. Howard)のクル(Kull)シリーズに登場するトゥルサ・ドゥーム(Thulsa Doom)等なれど 決定的正典化は千九百七十六年五月ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax)がTSRの雑誌戦略リビュー(The Strategic Review)第二巻四号に リッチ(The Lich) 短編にて発表したる事件と千九百七十七年一月AD&Dモンスター・マニュアル(Monster Manual)六十一頁にリッチが加えられたる事件である。千九百七十八年ゲイリー・ガイギャックスの冒険モジュール恐怖の墓(Tomb of Horrors S1)にてデミリッチ・アケレラク(Acererak)登場にて — 魂を封じたるフィラクタリーを破壊せざる限り本体を殺しても復活する — 正典が確立された。二千八年十一月十三日発売ブリザード・ワールド・オブ・ウォークラフト・リッチ王の怒り(World of Warcraft: Wrath of the Lich King)のリッチ王アーサス・メネシルが二十一世紀グローバル・リッチ正典を位置付けた。

revenant

レヴナント

Revenant · 復讐の帰還者 — 一つの目的のため墓から戻った死体

レヴェナント(英語Revenant 羅典語revenans 帰り来る者)は強き復讐心あるいは未だ解けぬ使命の為に自ら墓より起ち上がりたる屍体にて 明瞭なる自我と唯一の目的を持つ中世欧州の自覚的不死者図像である。語源羅典語revenansは動詞revenire(帰り来る)の現在分詞形にて 十一から十二世紀の羅典語年代記にて墓より蘇りて村を悩ます屍体を指す正典的用語となった。最も決定的なる文献は十二世紀英国年代記作家ウィリアム・オブ・ニューバラ(William of Newburgh 千百三十六年頃から千百九十八年頃)の英国史(Historia Rerum Anglicarum)第五巻二十二から二十四章 — バッキンガム(Buckingham) バーウィック(Berwick) アナント(Anant)等英国北部の村のレヴェナント事例を詳細に記録 — が中世欧州レヴェナント図像の決定的正典である。同時代ウェールズ出身の聖職者ウォルター・マップ(Walter Map 千百四十年頃から千二百十年頃)の宮廷人の些事(De Nugis Curialium)と 十三から十四世紀のアイスランド・サガ・グレティルのサガ(Grettis Saga)に登場するグラム(Glám)が北欧レヴェナント正典である。千九百七十七年ゲイリー・ガイギャックス(Gary Gygax)のダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)モンスター・マニュアルにてレヴェナントが単一の復讐対象に執着する自覚的不死者として遊戯化され 二千十五年アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro González Iñárritu)監督の映画レヴェナント・蘇りし者(レオナルド・ディカプリオ主演 アカデミー監督賞受賞)が二十一世紀レヴェナント図像を映画正典に位置付けた。