
手裏剣
忍者の隠し投擲武器
手裏剣は日本の小型の投擲武器で、手の内に隠した小さな刃物を意味するその名のとおり、ひそかに帯びて投げる補助の武器である。大きく二つに分かれ、細く長い釘・針の形で先端から刺さるように投げる『棒手裏剣(長さ約15~25cm)』と、しばしば『忍者の手裏剣』として知られる平たい星形の『車剣(直径約10~15cm)』がある。大衆文化では忍者の主武器のように描かれるが、実際には主武器ではなく、敵の注意を散らし牽制するための攪乱用の補助武器だった。衣の内や帯に複数を隠して携え、鉄か鋼で作られた。
起源
手裏剣は日本の戦国時代(1467~1615)の前後に、武士(ぶし)と忍び(忍者)が用いた補助の投擲武器である。正確な起源は定かでないが、棒・針形の棒手裏剣が星形の車剣より先に現れたと推定される。投げる技である手裏剣術は、いくつかの武術の流派(流派)で剣術の補助として併せて伝えられ、香取神道流のような古流剣術の中に手裏剣の伝授が含まれる場合もあった。本来は普通の釘や簪・小刀といった日常の鉄物を投げることから始まり、しだいに投げに合わせて整えられた専用の形へと発展したと見られる。
特徴
- 車剣(星形)— 直径約10~15cmの平たい多角の星形
- 棒手裏剣(棒・針形)— 長さ約15~25cm
- 主武器ではない攪乱・牽制用の補助武器
- 衣の内や帯に複数を隠して携帯
- 毒や汚物を塗って傷の化膿を狙うこともあった
- 鉄または鋼で製作
物語
手裏剣の用い方は、直接殺すよりも状況を揺さぶることにあった。敵の目や手のような無防備な箇所を狙って投げ、注意を散らすかひるませ、その隙に刀を抜くか間合いを詰めた。逃げるときは追っ手に投げて足を止め、時間を稼いだ。棒手裏剣は投げる距離と回転数に合わせて先端が正しく刺さるよう、流派ごとに独自の投法を修めた。車剣は複数を素早く続けて投げられた。毒や汚物を塗っておけば、小さな傷でも化膿させて効果を高めた。
弱点
手裏剣は殺傷力が非常に低く、それだけで敵を制する主武器にはなりえない。小さく軽いため甲冑を貫けず、正しく刺さるにはかなりの修練が要り、命中を保証しにくい。有効射程はおよそ5~10mにすぎず、遠くの敵には無力で、一度に帯びられる数も限られるため、長く戦いを引くこともできない。結局、単独では決定打になりえない、あくまで一瞬の隙を作る補助の道具だった。
文化的・歴史的意義
手裏剣は日本の忍び(忍者)と武士の文化を象徴する武器として広く知られている。投げの技が剣術の傍流としていくつかの流派に伝わるなかで、隠密と機知を重んじる忍者の像と深く結びついた。とりわけ星形の車剣は、二十世紀以降の映画や漫画を経て『忍者の手裏剣』として世界中に広まり、忍者といえば思い浮かぶ代表的な象徴となった。ただしこの大衆的な像は実際の役割を大きく誇張したもので、『手の内に隠した刃』という名が語るとおり、本来は表に出さず一瞬で用いる隠密の補助武器だった。
ポップカルチャーでの登場
手裏剣は忍者を扱うほぼあらゆる作品に登場する象徴的な武器である。『ナルト』の手裏剣・風魔手裏剣をはじめとする忍者漫画・アニメ、数多の忍者映画やゲームで投げる手裏剣としてなじみ深く、忍者キャラクターの基本的な遠距離武器として描かれる。ただし創作では一発で敵を即死させる強力な武器に誇張されがちで、殺傷力が低く攪乱が本領だった実際とは隔たりがある。星形の車剣があまりに強調されたため、実戦ではより一般的だったであろう棒形の棒手裏剣は、比較的知られていない。
豆知識
- 『手裏剣』という名は『手の内に隠した刃』を意味し、表に出さず帯びて一瞬で投げる隠密の補助武器という本来の性格をそのまま映している。
- 手裏剣は棒・針形の棒手裏剣と平たい星形の車剣に分かれ、棒形のほうが古いと推定され、投げの技である手裏剣術はいくつかの剣術の流派の中で補助の技芸として伝えられた。
- 大衆文化の『忍者の必殺の手裏剣』という像とは異なり、実際の手裏剣は殺傷力が低く、主に敵の目や手を狙って注意を散らすか、逃走時に追跡を遅らせるのに用いられ、毒や汚物を塗って傷を化膿させることもあった。











