
ドラゴンボーン
Dragonborn · 竜人 — 竜の血統を継ぐ戦士種族
ドラゴンボーン(Dragonborn)は竜の血を受け継いだ人型種族で、D&D第四版『プレイヤーズ・ハンドブック』(Wizards of the Coast、二〇〇八年六月)で正式なプレイヤー種族として導入され、二〇一四年第五版『プレイヤーズ・ハンドブック』以降、英語圏ファンタジーの竜人種族の標準として定着した。最古のD&D先駆例は一九九〇年AD&D『Council of Wyrms』箱入りセット(TSR)の『ドラゴン・キン(Dragon-kin)』種族で、二〇〇六年第三版『Races of the Dragon』(WotC)のハーフ・ドラゴン・テンプレートが直接の前身である。外形は身長一八〇-二〇〇センチ、体重九〇-一一〇キログラムの頑強な筋肉質体躯、赤・青・緑・白・黒(クロマティック/邪悪なティアマト系)または金・銀・銅・青銅・真鍮(メタリック/善良なバハムート系)の鱗肌、短い角と鉤状の嘴を持つ竜の頭部、そして尾を持たない直立人型姿勢が決定的な外形特徴である。第五版種族特性は+二筋力・+一魅力、ドラコニック・アンセストリー(Draconic Ancestry、親竜の種類によって決まる属性:赤・金は火、白・銀は冷気、青・青銅は雷、黒・銅は酸、緑は毒)、ブレス・ウェポン(十五フィート円錐または三十フィート線形の属性ブレス、短/長休息で再使用可能)、ダメージ抵抗(自属性の半減損傷)である。最も詳細な文化設定は二〇二一年『Fizban's Treasury of Dragons』にあり、竜神バハムート(善竜)とティアマト(邪竜)の後裔として氏族の名誉と竜の加護を最高価値とする戦士文化として描かれる。同図像はベセスダ『エルダー・スクロールズ V: スカイリム(二〇一一)』のドヴァキン(Dovahkiin、ドラゴンボーン)、バイオウェア『ドラゴンエイジ:インクイジション(二〇一四)』、『マジック・ザ・ギャザリング(一九九三-)』のドラコニド(Draconid)、ブリザード『ワールド・オブ・ウォークラフト:ドラゴンフライト(二〇二二)』のドラクサー(Dracthyr)等で広範に展開された。
起源
直接の典拠は二〇〇八年六月出版のD&D第四版『プレイヤーズ・ハンドブック』(Wizards of the Coast、主席デザイナーはマイク・ミアルズとジェームズ・ワイアット)で、第四版は十一の正典プレイヤー種族の一つとしてドラゴンボーンを導入し、図像・文化・種族特性を一括して標準化した。最古のD&D先駆例は一九九〇年AD&D『Council of Wyrms』箱入りセット(TSR)の『ドラゴン・キン』種族(竜と人型の子孫)で、直接の前身は二〇〇六年第三版『Races of the Dragon』(WotC)のハーフ・ドラゴン・テンプレートである。神話的下地は世界四大竜人後裔伝承の融合と評価される:(一)東アジアの竜族後裔崇拝 — 中国漢代皇室の『龍孫』(竜の子孫)崇拝、日本平安期の竜神後裔信仰、新羅の朴赫居世(紀元前五十七年即位)の妃閼英夫人が鶏龍の脇から生まれたという建国神話;(二)ギリシア神話のスパルトイ(Spartoi、テーベのカドモスが竜の歯を蒔いて生まれた戦士たち);(三)ペルシアの『アヴェスタ』のザッハーク(Zahhak、肩に二匹の蛇が生えた王);(四)北欧神話のファーヴニル(Fáfnir、人間から竜に変身したドワーフ)。標準化は二〇一四年第五版『プレイヤーズ・ハンドブック』を経て二〇二一年『Fizban's Treasury of Dragons』で神話体系が完成した。
特徴
- 身長一八〇-二〇〇センチ・体重九〇-一一〇キログラムの頑強な筋肉質人型
- 赤・青・緑・白・黒(クロマティック)または金・銀・銅・青銅・真鍮(メタリック)の鱗肌
- 短い角と鉤状の嘴を持つ竜の頭部、尾を持たない直立姿勢
- 第五版+二筋力・+一魅力、親竜によるドラコニック・アンセストリー
- ブレス・ウェポン — 十五フィート円錐または三十フィート線形の属性ブレス
- 竜神バハムート(善竜)とティアマト(邪竜)の後裔としての氏族名誉文化
物語
卓上RPGにおいて戦士・聖騎士(パラディン)・ソーサラー職業の典型種族として用いられ、氏族の名誉・竜神崇拝哲学により騎士道物語・決闘劇・誓約モチーフのキャンペーンの核心視点となる。同図像はベセスダ『スカイリム』のドヴァキン、バイオウェア『ドラゴンエイジ:インクイジション』の竜種族NPC、『マジック・ザ・ギャザリング』のドラコニド、ブリザード『ワールド・オブ・ウォークラフト:ドラゴンフライト』のドラクサー等、英語圏ファンタジーRPG・MMOに広く援用され、二十一世紀の竜人種族の標準となった。
弱点
名誉への執着が柔軟性を阻み、氏族の恥を極度に恐れるため、妥協や撤退が必要な外交的状況では弱点となる。強い自尊心により挑戦を回避できず、敵の名誉挑発に容易に引き込まれる。第五版基準では親竜の属性に応じて自属性に抵抗を持つが反対属性に追加弱点はなく、欠点は種族特性よりも文化・心理的側面に集中する。
文化的・歴史的意義
本図像は東西四大竜人後裔伝承 — 中国漢代の龍孫崇拝、ギリシアのカドモス・スパルトイ神話、ペルシアのザッハーク、北欧のファーヴニル — がD&D第四版(二〇〇八)で合成された結果であり、二十一世紀の英語圏ファンタジーRPG・MMO・文学で最も活発に拡張された種族図像である。ベセスダ『スカイリム』(二〇一一)のドヴァキンは、北欧の詩人英雄像にドラゴンボーンを結合した最も有名なポップカルチャー事例である。
ポップカルチャーでの登場
AD&D『Council of Wyrms』箱入りセット(一九九〇)の『ドラゴン・キン』、『Races of the Dragon』(二〇〇六)のハーフ・ドラゴン、D&D第四版『プレイヤーズ・ハンドブック』(二〇〇八、Wizards of the Coast)のドラゴンボーン標準化、第五版『プレイヤーズ・ハンドブック』(二〇一四)、『Fizban's Treasury of Dragons』(二〇二一)、ベセスダ『エルダー・スクロールズ V: スカイリム』(二〇一一)のドヴァキン、バイオウェア『ドラゴンエイジ:インクイジション』(二〇一四)、『マジック・ザ・ギャザリング』(一九九三-)のドラコニド、ブリザード『ワールド・オブ・ウォークラフト:ドラゴンフライト』(二〇二二)のドラクサー、パラマウント『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』(二〇二三)のドラゴンボーン・キャラクター『スボーン(Sboorn)』。