象鎧
戦象の全身甲冑
象の鎧は、戦に連れ出された象の巨大な身を覆うために作られた一具の鎧であり、ペルシャとインドのバルグスタヴァン(bargustavan)から育った獣の鎧の中で最大のものである。頭の上には金属や革で作った仮面状のシャンフロンを、背の上には矢と槍を防ぐ鎖と板の覆いを、胸と脇には鎖に小さな板をびっしりと止めた大きな一層を巻いた。背の上にはハウダ(howdah)と呼ばれる小さな櫓を載せ、二、三人の弓手や槍兵がその中から弓を射、鼻の先には短き刀を結びつけて敵の歩兵を打って散らした。人の手がかかる嵩の獣に鎧を着せた事は稀であり、一具の象の鎧の編みは一都市の主の一年の軍費に丸ごと匹敵するほど高く、ゆえに同じ鎧は野戦の武器であると同時に、王家の威勢を示す巨大な象徴でもあった。