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イタリアの刺突専用短剣
スティレットは15世紀のイタリアで発展した刺突専用の短剣で、刃の断面が三角形や四角形(時に円形)のため斬る刃がまったくなく、鋭い切っ先だけで突く独特の武器である。刃渡り約15〜30cmの細く硬い錐のような刃は、板金鎧の隙間——脇の下・関節部・兜の視認孔——や鎖帷子の輪の間に正確に突き入れるよう特化された。小さく硬く、衣服の下に隠しやすいため、戦場の対甲冑短剣であると同時に護身・暗殺の武器としても広く用いられた。細く深く刺さる刺し傷は見た目は小さくとも致命的で、「密かな暗殺者の刃」という印象が定着し、のちに各国の軍用戦闘ナイフの設計にも影響を与えた。
インドの拳突短剣
カタールはインド特有の押し突き(プッシュ)短剣で、刃と直角に置かれたH字形の横握りを拳で握ると、刃が拳の前へ、前腕の延長線上にまっすぐ突き出る構造である。そのため刃を振るうのではなく、拳を突き出すように腕と体重をそのまま刃先の一点に乗せて突く。刃の長さは約30~90cmと様々で、先端を厚く補強し鎖帷子を貫くようにしたものが多い。十四世紀の南インドに現れ、ムガル帝国期に最盛期を迎え、高級品の中には握りを締めると刃が左右に開いて三叉になる分割式(鋏式)の変種もある。インド土着の名は『ジャムダル(jamdhar)』である。