「ガントレット」タグが付いたアイテム 5件
中世騎士の管状前腕甲
ヴァンブレイスは前腕を管状に包む板金の鎧で、十四から十六世紀の欧州の騎士と重装歩兵の腕の防御を成す中心の部品である。その名は「前の腕」を意味する古フランス語の「アヴァンブラ(avant-bras)」に由来する。前腕の内側と外側をそれぞれ包む二枚の板を、片側は蝶番で、もう片側は掛け金で繋ぎ、開いて腕を入れ閉じて留める構造が普通であった。ヴァンブレイスは単独で用いられず、上腕を覆うリアブレイス、肘を覆うクーターと一揃いを成して、肩から手首までを隙なく繋ぐ統合の腕の防御の一部として働いた。材は主に鋼の板であったが、懐具合により、硬く煮固めた革(キュイル・ブイイ)で作った安価な形もあった。盾を持つ側の腕は盾が防御を代わるため、その側のヴァンブレイスを省くか、より軽い材で代える非対称の用い方もあった。
日本の武士の腕・手の防具
籠手(こて)は日本の武士の腕と手を守るために作られた防具で、布の袖の地に鎖(くさり)と小さな鉄板を縫い付けた複合の構造を持つ。西洋の籠手(ガントレット)が丸ごと板金で成るのと違い、籠手は金属と布を結び合わせて柔らかさと防御の釣り合いを求めており、日本の鎧づくり全体の設計の思想をそのまま示す。手の甲は別に鉄板(手甲)で覆い、前腕と肘は鎖と小さな板で包んだ。とりわけ初めの騎射の時代には、弓を取る左腕だけに片籠手を着けるか、左腕をより厚く守る非対称の用い方が普通で、これは弓射が武士の戦の核であったことを示す。大鎧や胴丸のような胴の鎧と一揃いで腕全体を守り、戦国の世を経て様々な形へ発展した。
中世騎士の関節式金属手甲
ガントレットは十四から十六世紀の欧州の騎士が手と手首を守るために着けた金属の手套で、板金の腕の体系の端である手を担う精巧な防具である。その核は、指の節ごとに小さな板(レイム)を幾枚も重ねて鋲で繋ぎ、指と拳を自由に曲げられるようにしたところにある。手首は広い筒(カフ)で包んでヴァンブレイスと繋ぎ、手の甲は板で覆うが、手のひらの内側は武器を握れるよう革の手袋のまま残した。大きく、手の甲を一枚の広い板で覆う砂時計形(アワーグラス)と、指を一本ずつ包む指形(フィンガー)に分かれる。武器を握る手の握力と自由な動きを保ちつつ隙のない防御を併せ持たねばならぬ相反する求めゆえ、ガントレットは鎧全体で最も作りにくい部品とされた。
沖縄武術の金属製手甲
鉄甲(てっこう、tekko)は沖縄の琉球古武道に育った小さな拳の覆いで、拳の手の甲を覆う平らな金属の板と、その内に指を挟む二本の短い棒から成る、極めて簡素な道具である。本来は人の足に履く草鞋と馬の蹄を守る蹄鉄から形と重さを取ったと伝えられ、それゆえ鉄甲は片手に一つ、両手で二つを対として用いるのが常である。手の甲を覆う点では西洋の真鍮拳(ブラスナックル、brass knuckle)と似るが、指の関節のみを巻く真鍮拳と違い、鉄甲は手の甲の全てを一面の板で覆って拳を守り、その重みで拳の一撃を重くする。小さき道具ゆえ片手に隠しやすく、遠くからは気づきにくく、それゆえ武器の所持が厳に禁じられた琉球王国の世にて、村の者と武人が密かに修め置きし護身の一筋として定まった。
指が一体化した中世の鉄籠手
ミトン・ガントレット(mitten gauntlet)は十四〜十五世紀欧州の騎士が手に着けた金属の手袋の一筋であり、親指のみ別に分かれて、残る四本の指が一つの金属の殻の内に共に納まる形からその名を得た。同じ時代に育ったフィンガー・ガントレットが五本の指を全て別々に覆ったのに対し、ミトン・ガントレットは四本の指を一面で覆い、関節の間の隙が殆ど無く、それゆえ同じ一面を覆う守りの目は、フィンガー・ガントレットに較ぶれば僅かに厚く、目が途切れない。作りの手が一所に少なく済むゆえ、一具の値が一段軽く、それゆえ十四世紀の初め、一具の板鎧が漸く根付いた頃には、ほぼ全ての騎士が同じ形を自らの手に着けた。五本の指の細かな働きが封じられる大きな欠点があるも、一本の槍やポールアックス、連枷の如く握りの所のみ確かであれば良き武には却ってよく合い、同じ形は十五世紀後半まで御前試合の座に堅く生き残った。