ヴァンブレイス
中世騎士の管状前腕甲
ヴァンブレイスは前腕を管状に包む板金の鎧で、十四から十六世紀の欧州の騎士と重装歩兵の腕の防御を成す中心の部品である。その名は「前の腕」を意味する古フランス語の「アヴァンブラ(avant-bras)」に由来する。前腕の内側と外側をそれぞれ包む二枚の板を、片側は蝶番で、もう片側は掛け金で繋ぎ、開いて腕を入れ閉じて留める構造が普通であった。ヴァンブレイスは単独で用いられず、上腕を覆うリアブレイス、肘を覆うクーターと一揃いを成して、肩から手首までを隙なく繋ぐ統合の腕の防御の一部として働いた。材は主に鋼の板であったが、懐具合により、硬く煮固めた革(キュイル・ブイイ)で作った安価な形もあった。盾を持つ側の腕は盾が防御を代わるため、その側のヴァンブレイスを省くか、より軽い材で代える非対称の用い方もあった。