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機械式発射装置の弩
クロスボウ(弩)は、水平に寝かせた弓を台(ティラー)に載せ、引いた弦を引っ掛けて止め、引き金で放つ遠距離武器である。普通の弓のように長年の鍛錬を要さず、比較的短い訓練で強い威力を出せるため、しばしば『民主化された武器』と呼ばれる。中世ヨーロッパでは歩兵の武器、また城壁防御の要として広く用いられた。初期は木・角・腱を貼った複合の弓を用いたが、十四世紀以降は鋼の弓が導入され、張力と貫通力が大きく高まった。矢に当たる『ボルト(クォレル)』は普通の矢より短く重く、近距離で強い貫通力を出した。
鋼鉄の弩弓
アルバレストは中世後期の重クロスボウ(弩)で、木と角の複合材に代えて鋼鉄の弓部(プロッド)を用い、当代随一の貫通力を誇った。鋼鉄弓部の張力は数百kgに達し、素手では引けないため、ウィンドラス(滑車装置)やクランカン(歯車装置)で機械的に弦を引く必要があった。有効射程約200m以上で板金鎧すら貫いたが、装填に時間がかかり発射速度は毎分1〜2発にすぎない。この遅さを補うため、大盾(パヴィス)を持つ盾持ち兵と組み、その盾の陰で装填しながら運用するのが常だった。短いボルト(クォレル、約30〜40cm)を放ち、扱いに長い訓練を要さないため、徴集兵でも短期間で戦力化できた。