LoreArc
corinthian-helmet
1 / 1
コリント式兜 すべて見る

コリント式兜

古代ギリシアの全面保護型兜

コリント式兜は古代ギリシアの最も象徴的な青銅の兜である。一枚の青銅板を打ち出し、継ぎ目なく頭全体を包み、頬を覆う頬当てと鼻を覆う鼻当てが顔をほぼ完全に囲い、細い目の隙と口の辺りだけを残す。ギリシアの重装歩兵ホプリテスの必須の装備で、肩を並べ盾を重ねて押し合う密集隊形(ファランクス)において、正面の頭と顔を固く守った。紀元前八世紀ごろコリントに現れ、紀元前五世紀まで広く用いられ、戦いでない時は額の上に押し上げて被るのが普通であった。内にはフェルトや革の当てを入れて衝撃を和らげ、上には馬毛の飾りを付けることが多かった。顔をほぼ全て覆うだけに防御は優れたが、その代わりに視界と聴覚が大きく制限された。

起源

コリント式兜は紀元前八世紀ごろ、ギリシア本土のコリント地方で初めて現れたと見られ、その名もここに由来する。一枚の青銅板を打ち出す一体の製法は継ぎ目がなく頑丈で、ギリシア都市国家の市民兵の標準の装備として速やかに広まった。紀元前八世紀から五世紀まで、およそ三百年にわたりギリシア世界の全域で用いられ、時代により目の隙や顔の線の形が少しずつ整えられた。しかし視界と聴覚の限りゆえ、紀元前五世紀ごろから、耳を開け顔の覆いを減らしたカルキス式兜や、単純な円錐形のピロス兜といった、より開けた形へ次第に取って代わられた。

特徴

  • 一枚の青銅板を打ち出す一体の構造
  • 頬当てと鼻当てが顔をほぼ完全に保護
  • ホプリテス(重装歩兵)の必須の装備
  • 戦い以外では額の上に押し上げて着用
  • 馬毛の飾りと古代ギリシアの視覚的象徴
  • 紀元前八から五世紀に用いられた古代の兜

物語

コリント式兜はギリシアのホプリテスの戦の装備で、肩を並べ盾を重ねて押すファランクスの隊形において、正面の頭と顔を守るのに用いられた。ほぼ全ての顔を青銅で包み、正面から飛んでくる槍の穂や刃を固く防ぎ、内の当てが衝撃を和らげた。戦いの始まる前や行軍の間は、息苦しい兜を額の上に押し上げ、視界と呼吸を確保したまま命令を聞き周りをうかがった。いざ敵とぶつかる瞬間に兜を下ろして顔を覆い、隊形の中へ入っていくように運用した。

弱点

コリント式兜の最大の弱点は視界と聴覚の制限である。顔をほぼ完全に包む造りゆえ、正面の細い目の隙からしか見えず、側面はほとんど見えず、青銅が耳を覆って音が聞こえにくかった。そのため戦場で指揮官の命令を受け取るのが非常に難しく、ひとたび隊形がぶつかれば、個々が周りをうかがい合図を聞くのは困難であった。また継ぎ目のない青銅が顔全体を押さえ、暑さに疲れやすかった。こうした限りから、結局はより開けた形の兜に座を譲った。

文化的・歴史的意義

コリント式兜は古代ギリシア文明を代表する視覚的象徴の一つである。知恵と戦の女神アテナが額の上に押し上げて被った兜の姿でよく描かれ、数多の陶器の絵や彫刻、貨幣に刻まれて、ギリシア戦士の典型の姿となった。とりわけ額の上に押し上げた横顔は、威厳と思索をともに漂わせ、今日も博物館や教科書、映画で「古代ギリシア」を一目で思わせる形である。防御と象徴を一つに備えたこの兜は、市民が自ら武装し都市を守った都市国家社会の精神をも宿している。

ポップカルチャーでの登場

コリント式兜は古代ギリシアを扱う映画・ゲーム・芸術にほぼ欠かさず登場する。とりわけ額の上に押し上げた姿は映画「300」などで馴染み深く描かれ、ギリシア戦士の象徴的な姿として刻まれた。ゲームや幻想作品では古代風の戦士や神話の英雄の兜としてよく用いられる。ただし創作では兜を被ったままでも自由に見聞きできるように描き、実際には視界と聴覚が大きく制限されたという点は伝わりにくいことが多い。

豆知識

  • コリント式兜は一枚の青銅板を打ち出し継ぎ目なく作られて頑丈であり、その名は初めて現れたコリント地方に由来する。
  • 戦いでない時は額の上に押し上げて被るのが普通で、この横顔がアテナ女神像や貨幣、映画などで古代ギリシアの象徴的な姿となった。
  • 顔をほぼ全て覆い防御は優れたが視界と聴覚が大きく制限され、紀元前五世紀ごろから耳を開けたカルキス式や単純なピロス兜へ次第に取って代わられた。